占部都美

占部都美（うらべくによし）の生涯と業績

占部都美は、1920年 2月1日に広島県福山市で生まれ、経営学の分野で著名な研究者となりました。彼は1961年に神戸大学から経営学博士の学位を取得し、1955年頃から日本の経営学研究に対して重要な貢献をしてきました。特に事業部制の研究に注力し、関連する著作を多数発表して、経営学の発展に寄与しました。

学歴と職業歴

占部は福山盈進商業学校を卒業後、1940年に横浜専門学校（現・神奈川大学）を卒業しました。その後、1943年には東京商科大学（現在の一橋大学）を卒業し、大学では増地庸治郎ゼミナールに所属していました。卒業後、彼は三菱石油に入社しましたが、1945年には同社を退職。1946年からは財団法人運輸調査局で勤務し、その後、1950年から1951年の間にアメリカのピッツバーグ大学大学院に留学しました。

1952年には神戸大学経営学部の助教授に就任し、1963年には教授に昇進しました。1983年には定年退官し、その後名誉教授となりました。また、日本文理大学や松山商科大学（のちの松山大学）で教授として教鞭を執り、商経学部長の職も務めました。

経営学への貢献

占部は、日本の経営学研究において、事業部制に関する初期の研究を行い、これに対する先駆的な著作を多数発表しました。さらに、ドイツ経営学からアメリカ経営学への移行を促し、日本における経営学の進展を助けました。世界的な経営学者ピーター・ドラッカーからは彼が日本を代表する経営学者であると評されています。

その間、一般読者向けの著作も数多くあり、1963年に発表した『危ない会社』はベストセラーとなりました。その他にも『コストダウン』『不況期の経営学』『人件費』『サラリーマンの哲学』など、身近な経営問題をテーマにした著作を数多く刊行しました。

学生たちへの指導

占部は、経営学の教育と研究において数多くの優秀な学生を指導しました。その中には、経営者として成功を収めた吉原英樹や加護野忠男、江崎グリコ社長の江崎勝久などが含まれています。彼の教育スタイルは、学生たちに実務における経営学の重要性を理解させることであり、学問と実践の橋渡しをするものでした。

主な著書と翻訳

占部の著作には、次のようなタイトルがあります：

- 『公共企業体論パブリック・コーポレーションの本質・形態とその理論』(1949)
- 『経営学原理』シリーズ (1958)
- 『危ない会社あなたのところも例外ではない』(1963)
- 『サラリーマンの哲学人は、なぜ会社で働くのか』(1976)

また、彼は翻訳書や共編著も多数手掛けており、経営学辞典の編纂をはじめ、他者の業績を日本に紹介する役割も果たしました。

昭和の経営学における巨星

占部都美の業績は、日本における経営学研究の基盤を築いたことで評価されており、彼の着目した事業部制は多くの企業で採用されています。彼の理論や著作は、現代の経営者や学生にとっても貴重な参考資料とされています。祖国の経済と企業の発展に寄与した彼の遺産は、今後も多くの人々に影響を与え続けるでしょう。

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