危害

危害（harm）とは、一般的に「人の障害や健康の喪失状態、または財産や環境の価値の喪失状態」と定義されます。これは、佐藤吉信氏によって提唱された考え方であり、危害を理解する上で重要な基礎となります。

国際的な安全規格においては、危害はより具体的に「人の受ける身体的傷害若しくは健康傷害、又は財産若しくは環境の受ける害」と定義されています。この定義は、危害が人の健康だけでなく、財産や環境にも及ぶ可能性があることを示唆しています。

また、公益財団法人日本食肉消費センターの用語集では、ハザード（hazard）を「危害」と訳している例も見られます。しかし、電気の国際標準では、ハザードと危害は明確に区別されています。ハザードは、危険の源が潜在的に存在し、まだ表面化していない状態を指します。一方、危害は、ハザードが危険事象によって状態遷移し、実際に損害が発生した状態を指します。

危害の影響の大きさは、保護対象（人、財産、環境）の性質や、傷害の程度（軽度、重度、死亡）、危害の範囲（一人、複数）など、様々な要因によって異なります。これらの要素を総合的に考慮することで、危害の深刻さを評価できます。

危害の発生確率は、危険源にさらされる頻度、危険事象の発生確率、そして危害を回避または制限する可能性によって左右されます。これらの要素を分析することで、危害が発生するリスクを定量的に評価することが可能です。

危害のカテゴリ

危害は、以下の3つの組み合わせで分類することができます。

1. 傷害のひどさ
軽傷（完治可能）
死亡を含む重傷（通常は完治しない）

2. 危険源にさらされる頻度または時間
滅多にない
時々
頻繁
継続的

3. 危険源回避の可能性
特定の状況下で可能
ほとんど不可能

これらの要素を組み合わせることで、危害の種類やリスクレベルを具体的に特定することができます。例えば、重傷で完治が難しい傷害が、頻繁に、かつ回避が困難な状況下で発生する場合、そのリスクは非常に高いと評価されます。

まとめ

危害とは、人の健康や財産、環境に損害を与える状態を指し、ハザードとは異なる概念です。危害の大きさや発生確率は、様々な要因によって左右されます。危害のカテゴリを理解することで、リスクをより適切に評価し、対策を講じることが可能になります。

参考文献

ISO/IEC GUIDE 51:2014
JIS Z 8051:2004
機械安全/機能安全 実用マニュアル、日刊工業新聞

関連項目

リスク
リスクアセスメント
リスク分析

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