危険源

危険源（ハザード）とは

危険源（きけんげん、英：hazard、hazard source）とは、事故や災害を引き起こす可能性のある根本的な原因を指す言葉です。JIS規格では、機械や電気の分野において「危害を引き起こす潜在的な根源」と定義されています。具体的には、機械の可動部分、電気回路、化学物質など、人や環境に危害を与える可能性のあるもの全てが危険源となり得ます。

定義

JIS規格では、以下の通りに危険源が定義されています。

ハザード（JIS Z 8051：2004）
危害の潜在的な源
備考:ハザードという用語は、起こる可能性のある危害の発生源又は性質を定義するために用いることが一般的に認められている（例えば，感電，押しつぶし，切断，毒性によるもの，火災，おぼれなどのハザード）。
危険源（JIS B 9700：2013）
危害を引き起こす潜在的根源
脚注：危険源は、その発生原因（例えば，機械的危険源，電気的危険源）を明確にし、又は潜在的な危害（例えば、感電の危険源、切断の危険源、毒性による危険源、火災による危険源）の性質を明確にするために修飾されることがある。危険源は、次を想定している。
機械の「意図する使用」の期間中、恒久的に存在するもの（例えば、危険な動きをする要素の運動、溶接工程中の電弧、不健康な姿勢、騒音放射、高温）又は
予期せずに現れ得るもの（例えば、爆発、意図しない及び予期しない起動の結果としての押しつぶしの危険源、破損の結果としての放出、加速度又は減速度の結果としての落下）
潜在危険（JIS C 0508-4：2012）
危害を引き起こす潜在的根源
注記:この用語は、（火災又は爆発のように）短時間で生じる人への危害のほかに、（例えば，中毒性物質の放出による）長期にわたる健康への影響も含む。

これらの定義から、危険源は単に「危険なもの」ではなく、「危害を引き起こす可能性のある潜在的な原因」であることがわかります。また、その原因は、機械的なもの、電気的なもの、化学的なものなど、多岐にわたることが示されています。

危険源の種類と具体例

危険源は、その性質によって様々な種類に分類されます。以下に具体的な例を挙げます。

機械的危険源:
回転する機械の可動部（ギア、ベルト、ローラーなど）
切断機、プレス機などの刃物や挟み込み部分
重量物の落下
高圧の流体や気体
電気的危険源:
感電の危険性のある露出した電線や端子
静電気放電
電気機器の過熱や故障
化学的危険源:
有害な化学物質やガス
可燃性物質や爆発性物質
腐食性物質
物理的危険源:
高温、低温
騒音、振動
放射線
不安定な足場
生物学的危険源:
細菌、ウイルスなどの病原体
毒性のある動植物

これらの危険源は、単独で存在するだけでなく、複合的に組み合わさって危険を引き起こすこともあります。例えば、機械の可動部と電気配線が同時に存在する場合、感電のリスクと挟み込みのリスクが同時に発生する可能性があります。

危険源の特定とリスクアセスメント

事故や災害を未然に防ぐためには、危険源を特定し、その危険度を評価する「リスクアセスメント」が重要です。リスクアセスメントは、以下のステップで行われます。

1. 危険源の特定: 作業環境や作業内容を分析し、どのような危険源が存在するかを洗い出します。
2. リスクの評価: 特定された危険源が、どの程度の危害を引き起こす可能性があるか（リスクの大きさ）を評価します。
3. リスクの低減措置: 評価したリスクの大きさに基づいて、適切な対策を講じます。対策としては、危険源の除去、代替手段の採用、保護具の使用、作業手順の改善などが考えられます。

安全な環境の実現のために

危険源を正しく理解し、適切なリスクアセスメントを行うことで、安全な作業環境を実現することができます。職場だけでなく、家庭や日常生活においても、危険源を意識し、対策を講じることが大切です。危険源に対する意識を高めることが、事故や災害を未然に防ぐための第一歩となるでしょう。

関連用語

安全
リスクアセスメント

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