即席爆発装置

即席爆発装置（IED）について

即席爆発装置、通称IED（Improvised Explosive Device）は、既製品ではない簡易手製爆弾のことを指します。防衛装備庁では「即製爆発装置」という訳語が用いられています。一般的には手製爆弾、即席爆弾、または簡易爆弾という名称でも知られています。

構造と製造

IEDは、砲弾や地雷などの既存の爆薬や容器を再利用して製作されるため、工業製品としての規格化はされておらず、製造過程は様々です。このため、個々のIEDは構造が異なり、一つとして同じものはありません。一般には、爆薬と起爆装置を使って製作され、道端や特定の地点に設置されることが多いです。

一部のIEDは、硬質なパイプに爆薬を詰め込む「パイプ爆弾」としても存在し、投げられたり設置されたりします。基礎的な知識さえあれば、低い技術水準で製造できる点が特徴です。

特に、イラクやアフガニスタンでは、戦争によって生じた不発弾や地雷が手に入れやすく、これを利用することで危険なIEDが制作されています。また、爆発物に金属片を仕込むことで、破壊力を高める工夫もされていることがあります。

歴史と利用

第二次世界大戦中、ベラルーシの反ナチスゲリラが路肩爆弾を使用したことが、IEDの組織的な利用の始まりとされています。以来、ゲリラや反政府勢力によって多用されるようになり、特にアフガニスタンやイラクにおける反米組織がその利用に拍車をかけました。イラク戦争中、アメリカ軍の戦死者のほとんどがIEDによるものであり、その影響力が際立つ結果となっています。

特異性

IEDは、どのような材料を使用するかも製作者の裁量によります。そのため、小さな手榴弾サイズから大型の航空爆弾クラスのものまで多岐にわたるバリエーションがあります。これにより、正規軍であってもその対処に苦しむケースが多くあります。イラク戦争以降、自作の弾薬を使用したIEDは特殊な兵器として認識され、駐留軍に大きな脅威をもたらしています。

改善策と対処

駐留軍は、IEDの攻撃に対抗するため防護性能の高い装甲車両を導入するなどの努力を重ねています。例えば、特殊な装甲車両の導入が進められ、自衛能力の向上が図られています。また、IEDを効率良く探知するための技術開発や情報収集が求められています。

一方で、IEDには様々な起爆方式があり、無線信号による起爆が一般的なため、電波妨害の対策も整備されてきました。しかし、それでもなお大規模な防衛策を講じることは困難で、デリケートな状況下での効果的な対応が求められています。

影響

IEDの存在は駐留軍や民間人に大きな脅威を与え続けています。殺傷効果だけでなく、爆風によって外傷性脳損傷を引き起こすリスクも存在するため、その被害は多岐にわたります。特に、補給路への影響は深刻であり、ハンヴィーなどの軍用車両が狙われることも多く、物資の運搬が困難になるケースも見られます。

結論

IEDは、特に非正規戦において重要な兵器として位置づけられ、多くの国でその危険性が認識されています。その特性ゆえにデザインの自由度があり、効果的な対策が難しいため、引き続き技術開発と新たな防護策が求められている現状です。

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