ハンヴィー

ハンヴィー（HMMWV）とは

ハンヴィー（HMMWV: High Mobility Multipurpose Wheeled Vehicle）は、アメリカ軍向けに製造された高機動の多用途装輪車両です。製造はAMゼネラル社が担当し、1985年から部隊に配備されました。初めて実戦で使用されたのは1989年のパナマ侵攻で、その後も湾岸戦争などで数多くの車両が投入され、国際的な認知を受けました。

開発の背景

1970年代より、M151の後継車両として新たな軍用輸送車両の開発に着手されました。1979年に発注仕様が定まり、1985年から量産が開始されました。元々は軍の汎用輸送車両として設計されたハンヴィーは、陸軍や海軍、海兵隊など様々な軍種で使用され、特に特殊部隊には特化した改造が施されています。

車両の仕様と改造

ハンヴィーには多くの型式が存在し、武装や装甲の強化は使用される任務に応じて行われます。一般的な仕様にはM2重機関銃やMk.19グレネードランチャーなどが搭載され、用途に合わせた改造によって新たな武器が追加されたり、内部の座席配置を変更したりすることもあります。

たとえば、M1025やM1044は抱いた装甲を持ちながらも、機銃を屋根に装備することができます。また、TOW対戦車ミサイルを運用する型や、救急車仕様のバリエーションも豊富にあります。特に救急車型は、負傷者を運ぶための特別な設備が整備されています。

難題と進化

過去の戦闘経験により、多くの機能強化が求められました。例えば、ソマリア内戦などの市街戦では装甲の脆弱性が指摘され、防護性能の向上が図られました。イラク戦争では地雷やIEDに対する防御力が課題となり、強化型モデルが次々に開発されました。防護性能の強化により、M1114やM1151など、それぞれが新たな装甲追加キットや防護強化仕様として登場しました。

それに伴い、アメリカ軍は後継となるJLTV（Joint Light Tactical Vehicle）の開発計画を進め、既存のハンヴィーの代替に向けた取り組みが続いています。特に、装甲型ハンヴィーは強化されながらも、全てのモデルを更新する計画から、選別されたモデルへの更新に変更されています。

海外での運用

ハンヴィーはアメリカ軍だけでなく、世界各国で使用されています。イスラエル国防軍では独自に改良を施したバージョンが多数運用されており、特に装甲強化型は独特な外見を持っています。また、ロシアや中華人民共和国でも類似の車両が開発され、国際的な軍事市場においてもその影響力を持っています。

民間ニーズと後継車両

1992年には、俳優アーノルド・シュワルツェネッガーの要望に応じて、ハンヴィーの民間用バージョンである「ハマー」が登場しました。アメリカ軍で余剰となったハンヴィーは、民間に払い下げられ、一般道路を走行することも可能です。

結論として、ハンヴィーはその高い機動性と多用途性から、軍用車両としての地位を確立し続けています。今後も後継車両の導入が進む中で、ハンヴィーは長い歴史を持つ重要な装備として、軍事活動に貢献し続けるでしょう。

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