厚別町旭町

厚別町旭町（あつべつちょう あさひまち）は、かつて札幌市（現在の厚別区と白石区の一部）に存在した地名です。その名は、国道12号線沿いにそびえ立っていた見事な大木、「朝日松」に由来します。この朝日松は、地域住民にとってランドマークのような存在であり、地名としてその名を残すこととなりました。

厚別町旭町は、厚別区の中心部に位置していたため、1970年代から始まった厚別副都心計画において、その位置づけが重要な意味を持つようになりました。この計画は、札幌市の都心機能の一部を分散させ、新たな都市拠点を形成することを目的としていました。そのため、厚別町旭町周辺には、商業施設や公共施設などが集中的に整備され、人口が急増しました。地域の発展は目覚ましいものでしたが、一方で、都市化の進展に伴い、様々な課題も浮上しました。

地域の再編成は、このような状況下で進められました。行政は、増加する人口に対応するため、また、より効率的な行政サービスを提供するために、地番の整理や区画の再編を行う必要に迫られました。その結果、厚別町旭町は、段階的に周辺の新しい町名へと編入されていくことになります。

具体的には、1982年（昭和57年）に、厚別町旭町の一部が厚別南1～3丁目、青葉町5丁目、厚別中央1～3条1～4丁目、4条2丁目へと編入されました。この編入により、厚別町旭町の一部は、新しい住宅地や商業地として生まれ変わりました。さらに、1988年（昭和63年）には、別の一部が大谷地東1・4・7丁目に編入されています。この地域は、地下鉄東西線の大谷地駅周辺に位置し、交通の便が良いことから、住宅地としての開発が進みました。

そして、1989年（平成元年）、残っていた厚別町旭町の地域が流通センター4～7丁目に編入されたことで、「厚別町旭町」という行政地名は、その歴史に幕を閉じました。流通センターは、札幌市の物流拠点として重要な役割を担っており、この編入によって、地域全体の物流機能の強化が図られました。

厚別町旭町という地名は消滅しましたが、その歴史は、厚別区の発展の過程において重要な意味を持っています。朝日松の名残とともに、この地の記憶は、地域住民の心の中に生き続けていることでしょう。

参考文献
関秀志 編『札幌の地名がわかる本』亜璃西社、2018年11月16日。ISBN 978-4-906740-34-5。

外部リンク
札幌市厚別区役所

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