厚生年金基金

厚生年金基金についての詳細

厚生年金基金（こうせいねんきんききん）は、企業年金の一種であり、厚生年金保険法に基づく認可法人です。1966年に経済界の要請に応じて設立されましたが、2014年4月から原則廃止され、現在はその数が大幅に減少しています。日本の年金制度は、国民年金（1階部分）、厚生年金（2階部分）に加え、厚生年金基金を含む企業年金（3階部分）から成る、いわゆる「3階建て」の構造になっています。

基金の役割と構成

厚生年金基金は、加入者に対して老齢年金や一時金を供給し、生活の安定と福祉の向上を図ることを目的としています。それは、厚生年金保険の適用事業所の事業主とそこで働く被保険者によって構成されています。多くの厚生年金保険に関連する権限は日本年金機構が持っていますが、厚生年金基金の管理は地方厚生局長が行っています。基金名称には「厚生年金基金」という文字を用いる義務があります。

加入者は通常、設立事業所の被保険者と同時に厚生年金基金の加入員になります。ただし、船舶を利用する被保険者や、高齢任意加入被保険者、二か所以上の基金に属する被保険者などは加入の対象外となります。また、被保険者は一定期間内に選択した基金にのみ属することが求められ、その選択は10日以内に届け出る必要があります。

資金運用と加入者負担

基金は、加入者の給与に基づいた掛金を原則として労使折半で徴収します。事業主は、加入者分を含めた掛金を納付する義務があり、この掛金は社会保険料控除の対象となります。基金の業務は信託会社や金融機関に委託される場合もあり、運用には一定の規制があります。

2020年5月1日現在、残存する基金はわずか5つで、加入者数は13万人であり、事業所数は5000を超えています。厚生年金基金は、過去においては運用益をあげていたものの、現在では多くの基金が運営面での課題を抱えています。

過去から現在の変遷

厚生年金基金は、バブル期までは良好な運用実績を維持していましたが、近年では多くの基金が資金不足に悩まされており、特に総合型基金ではその傾向が顕著です。これに伴い、政府は2002年に代行部分の返上を認め、2004年以降は財政運営の再構築が図られました。

2014年には新規設立が認められず、多くの基金が解散する道を選びました。2023年3月時点で残存するのは5つの基金のみであり、かつて531基金存在したのが410基金が解散したということから、その厳しさが伺えます。

企業年金連合会との関係

厚生年金基金が解散した場合、企業年金連合会がその年金給付義務を引き継ぐことが求められています。連合会は、脱退者や解散した基金の加入者に対して一元的に年金を支給する役割を持っています。これは、加入企業や事業者が多様な年金制度に移行した際に、労働者の権利を守るための重要な措置です。

このように厚生年金基金は日本の年金制度において重要な位置を占めていましたが、近年の社会的及び経済的な変化に影響され、制度改革や運営上の課題に直面しています。加入者や企業に対するサポートを継続しつつ、今後どのような方針が採られるかが注目されます。

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