厚田雄春

厚田 雄春について

厚田雄春（あつた ゆうはる、1905年1月1日 - 1992年12月7日）は、日本映画のカメラマンとして名を馳せ、小津安二郎監督作品に多く携わったことで知られる。彼のキャリアは、映画の光と影を見事に捉えた作品によって彩られ、日本映画史の中で重要な位置を占めている。

経歴の概要

厚田は兵庫県神戸市にて誕生し、東京都の虎の門で育った。幼少期から映画に魅了され、旧制海城中学校在学中に映画館に通い詰めた。その後、彼は1922年に松竹合名社に入社し、松竹蒲田撮影所の撮影部で自身の情熱を活かすこととなる。彼の映画界への道は、絵画への愛情から始まった。

彼が本格的な撮影助手としてのキャリアをスタートさせたのは、1928年に小津安二郎の監督作品『若人の夢』の現場からだった。この時から、両者の親しい関係が築かれ、厚田は多くの小津作品での助手として活躍した。15年間の助手生活を経て、1937年の『淑女は何を忘れたか』からは撮影監督に昇格し、1962年に公開された『秋刀魚の味』まで、小津作品の全てで撮影監督を務めた。

厚田はまた、1967年まで多くの映画プロジェクトに関与し、その後松竹を退社。1985年にはヴィム・ヴェンダース監督の映画『東京画』でインタビューを受け、その後の人生においても映画に対する情熱を持ち続けた。

主な作品

厚田のフィルモグラフィーは多岐にわたりますが、特に小津監督の作品群には特筆すべきものが多い。代表的な撮影作品には、以下のものが含まれる。

• - 『淑女は何を忘れたか』（1937年）
• - 『東京物語』（1953年）
• - 『秋刀魚の味』（1962年）

これらの作品は、カメラワークや照明が見事に活かされることで、観客に強い印象を与えるものであった。また、1940年代から1950年代にかけての数々の作品も、彼の技術と美的感覚が光るものばかりである。

受賞歴

厚田はその功績を評価され、いくつかの賞を受賞している。特に、1951年の第2回ブルーリボン賞での撮影賞や、1962年の第17回毎日映画コンクールでの撮影賞など、彼の作品は多くの映画賞で評価された。また、1990年には勲四等瑞宝章を受章し、1992年には日本アカデミー賞特別賞を受賞した。

著作と影響

1989年に蓮實重彦との共著で『小津安二郎物語』を出版し、小津の映画の背後にある哲学や技術について記述した。厚田の視点は、多くの映画ファンや研究者にとって貴重な参考資料となっている。

彼の作品は、日常の美しさや人間関係の繊細さを描くことによって、視聴者に深い感動を与え続けている。厚田雄春の名は、日本映画の金字塔として永遠に刻まれている。

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