原一平

原一平：寅さんを演じ続けた物真似タレント

原一平（はら いっぺい、本名：日下部護）は、昭和を彩った物真似タレントです。特に、渥美清さんの物真似、とりわけ「寅さん」の愛称で広く親しまれました。北海道当麻町出身の原さんは、どのような道を歩み、人々を魅了したのでしょうか。

生い立ちとコメディアンへの転身

旭川東高校という進学校に進んだ原さんは、当初医学部を目指していましたが、浪人生活中に学費を稼ぐため、アルバイト先の農家で開かれたのど自慢コンテストで優勝。NHKのど自慢にも出場しました。三橋美智也さんの歌を披露した際、審査員から「似すぎている」と指摘されたことがきっかけで、コメディアンを志すようになったそうです。その後、河合楽器製作所でトップセールスマンとして活躍する傍ら、物真似芸人としての道を歩み始めました。

渥美清公認の寅さん

原さんは、渥美清さん公認の「寅さん」として、寄席やテレビ、ラジオ、映画など多岐にわたるメディアで活躍しました。渥美さんから譲り受けた寅さんのトランク、帽子、腹巻、お守りは、『開運!なんでも鑑定団』で30万円の価値があると評価されたことからも、その貴重さが伺えます。テレビ番組の葛飾柴又特集や寅さんの回顧番組では、渥美さんの代役として出演し、その演技が山田洋次監督の目に留まり、『釣りバカ日誌』シリーズへの出演を果たしました。

晩年の活動と後進育成

東京演芸協会の副会長・専務理事を兼任し、会長の牧伸二さんを支えるなど、業界の要職を歴任。また、「ものまねキングス」というユニットを結成し、まとめ役を務めました。2008年には、『炎神戦隊ゴーオンジャー』で声優に挑戦。寅さんの正装でアフレコに臨み、周囲を驚かせたというエピソードも残っています。「寅さん漫談」や「歌まね七変化ショー」といった独自の芸を確立し、柴又での無償の路上公演を行うなど、常に観客を楽しませることを追求しました。後進の育成にも熱心で、若手芸人たちと一門会を主催するなど、その才能を次世代に繋ぐ活動にも力を注ぎました。

妻との愛と生涯

2013年には、フジテレビの番組で、癌で声を失った妻との愛の物語が放送され、多くの視聴者の感動を呼びました。原さんは、芸人としての活動を支え続けた妻への感謝の気持ちを常に抱き、その愛は多くの人々に感銘を与えました。

2014年12月4日、脳梗塞の後遺症により76歳で逝去。その訃報は、多くの人々に惜しまれました。

人柄とレパートリー

芸名の由来は、「東京でごはんを腹一杯食べられるくらいの人気者になりたい」という願いから。北海道新聞に回顧録が連載されるなど、北海道出身の有名人の一人として広く知られています。レパートリーは、渥美清さんをはじめ、三橋美智也さん、三波春夫さん、ディック・ミネさんなど、50人以上に及びました。

出演作品

映画『ハウス』や『異人たちとの夏』、『釣りバカ日誌』シリーズ、テレビ番組『炎神戦隊ゴーオンジャー』など、数多くの作品に出演しました。また、北海道や富山県、福島県などのローカルCMにも出演し、地域の人々にも愛されました。

原一平さんは、物真似という芸を通じて、多くの人々に笑顔と感動を届けました。その功績は、これからも語り継がれていくことでしょう。

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