ディック・ミネ

ディック・ミネの生涯

ディック・ミネ（本名：三根徳一）は、1908年10月5日に徳島県徳島市で誕生しました。彼は、日本のジャズやブルース、流行歌の世界において重要な存在となった歌手、ギタリスト、俳優、タレントとして知られています。また、訳詞家や編曲家としては、彼の本名を用い、戦時中には別名義も使って活動しました。ミネは、テイチクレコードの創成期において、その立役者の一人として、数多くの名演やヒット曲を生み出しました。

幼少期と音楽との出会い

ミネは、東京帝国大学卒の厳格な教育者である父と、日光東照宮の宮司の娘である母のもとに生まれました。母が所有していた西洋音楽のレコードに触れることで、幼少期から音楽に興味を持つようになりました。後に上京し、立教大学に入学することになった彼は、大学在学中にはダンスホールでのジャズ演奏に魅了され、自らもバンドメンバーとして活動を始めます。

音楽キャリアの始まり

大学卒業後、初めは逓信省に就職しますが、音楽の世界での活躍を希望し、ダンスホールで歌手としての道を選びました。1934年、彼は淡谷のり子に見出され、テイチクレコードの創立に関わることになりました。ミネのデビュー作である『ロマンチック』は、彼のジャズバンド「ディック・ミネ・エンド・ヒズ・セレナーダス」としてヒットを記録します。その後、古賀政男の推薦も受け、流行歌のレコーディングを開始し、瞬く間に流行歌界の大スターとなります。

戦時中の活動と名前の変更

1938年、中国大陸に演奏旅行に行った際、ミネは本名の変更を余儀なくされ、「三根耕一」と名乗ることになりました。しかし、戦局が悪化するにつれ、活動の場を限られた状況で続けることになります。

戦後の復活

戦後、ジャズや流行歌が復活する中、ミネも活動を再開しました。1947年の映画『地獄の顔』での主題歌『夜霧のブルース』や『長崎エレジー』が大ヒットを記録し、再び音楽界の中心に戻ることに成功します。これと並行して、彼は俳優としても映画や舞台で幅広く活躍しました。

晩年と影響

ミネは1980年代にはテレビの司会者やコメンテーターとしても有名になり、懐メロのブームにも関与しました。勲四等旭日小綬章を受章したものの、享年83歳で1991年に急性心不全によりこの世を去りました。彼の多才な革新性は、後の世代のアーティストに大きな影響を与え、今なお彼の名曲は愛され続けています。

プライベートとその影響

ミネは生涯で3度の結婚を経験し、それぞれの結婚相手とは深い関係を築きました。彼は10人の子供をもうけ、子供たちにも音楽の素晴らしさを伝えました。ディック・ミネのキャリアは、彼の音楽だけでなく、私生活や社会活動にも反映されていました。戦時中の名前変更や、晩年の社会への貢献など、彼の生涯には多くのドラマが存在します。

ディック・ミネは、音楽史に名を刻んだ人物であり、彼の功績は、日本のジャズ・ブルースの礎を築いたとともに、流行歌という文化の発展にも寄与しました。

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