原剛 (軍事史家)

原 剛（はら たけし）

原剛（1937年生まれ）は、日本の軍事史研究者であり、陸上自衛隊の一等陸佐としても知られています。彼は防衛省の防衛研究所図書館で調査員として活躍し、さらに軍事史学会の副会長を務めています。専門分野は特に日本軍事史であり、国土防衛に関連するテーマに取り組んでいます。

経歴

香川県で生まれた原は、県立観音寺第一高校を卒業したのち、1960年に防衛大学校を卒業し、陸上自衛隊に入隊しました。彼のキャリアは、第10普通科連隊や第28普通科連隊での勤務から始まり、その後は防衛大学校や陸上自衛隊の少年工科学校、幹部候補生学校で教官を務めました。この間に、日本大学法学部を通信教育で卒業し、国士舘大学で歴史学を学びました。

1980年からは防衛庁の防衛研究所戦史部に所属し、1991年には自衛官を退官。退官後は講師として防衛研究所に復帰し、2010年に定年退官するまで、様々な役職を歴任しました。 非常勤調査員として戦史部に残った彼は、現在もその職に在籍しています。

原はまた、軍事史学会の理事を経て副会長に就任し、特に日本陸軍に関わる映画やドラマの軍事考証も数多く手がけています。特に「坂の上の雲」等の作品でその力量を発揮しました。

南京戦史に関する著作にも関与しており、日中戦争中の南京事件についての論争にも参加しています。日本「南京」学会においても、研究成果を発表するなど、積極的に歴史的な議論に貢献しています。さらに、国家基本問題研究所で客員研究員としても活動しています。

主な著作

原剛は多くの著書や共著を発表しており、その中には基礎的な軍事史の研究書が多数含まれています。著書には、『幕末海防史の研究』『明治期国土防衛史』『沖縄戦における住民問題』があり、さらに共著としては、歴代陸軍大将をテーマにしたシリーズも手がけています。

彼の共編著作品には、『日本陸海軍事典』があり、これは日本の軍事史の研究において重要な資料として扱われています。また、監修業務も行い、特に「秘蔵 日露陸戦写真帖」のような作品に関与しています。

論文と研究業績

原の研究成果は論文にも表れており、例えば「幕末における江戸湾の防備」や「日清戦争における本土防衛」などのテーマが取り扱われています。これらの論文は、彼の専門知識と詳細な調査に基づいており、多くの研究者や学生に影響を与えています。

さらに、「いわゆる南京大虐殺事件」の歴史的記録について再検討を行い、南京事件の規模と要因についての研究も発表しています。

結論

原剛は、日本の軍事史における重要な研究者であり、陸上自衛隊でも長いキャリアを積んできた専門家です。その影響は学問の枠を超えて、多くのメディアや歴史討論にも及んでいます。彼の研究は、今後の日本の軍事史の理解に貢献し続けることでしょう。

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