原嘉道

原 嘉道の生涯

原 嘉道（はら よしみち、1867年3月23日 - 1944年8月7日）は、日本の官僚、弁護士、法学者、政治家として多大な影響を与えた著名な人物である。彼は男爵であり法学博士でもあり、特に司法に関する重要な役職を歴任した。原は田中義一内閣で司法大臣を務め、太平洋戦争開戦時には枢密院議長として知られる。

生い立ちと教育

原は長野県須坂市小山に生まれ、父は旧須坂藩における武士階級の足軽小頭であった。彼は幼少期に亀太郎という名で呼ばれ、戸外で遊ぶことが多かった。明治維新後も田舎で比較的平穏な生活を送り、学問に励んだ。

大学へ進学するにあたって、彼は中等教育を経て、旧制第一高等学校を卒業し、1890年には東京大学法科大学の英法学部を首席で卒業した。この時代には、法律家としてのキャリアを目指していたが、経済的な理由から弁護士としての開業を果たすことは難しかったため、農商務省に入省することとなった。

高い法曹界での活動

農商務省では、陸奥宗光や原敬の影響を受け、スピード出世を果たし、その間に経済政策や法令の運用に関して多くの知識を得た。1893年には、念願の弁護士資格を取得し、東京都京橋で法律事務所を開設した。名士としての地位を確立し、次第に鉱山関連の法令や事件に強い弁護士として知られるようになった。

政治と法の頂点へ

1920年には、原敬内閣で陪審法諮問委員に選ばれ、その後、1927年に田中義一内閣の司法大臣として内閣に参加した。司法大臣として、彼は日本共産党に対する厳しい取り締まりを行い、その活動が波紋を呼ぶ。また、1931年には枢密顧問官に就任し、1938年からは枢密院副議長を務める。

1940年には枢密院議長に就任し、日独伊三国軍事同盟の締結に反対するなど、外交政策にも積極的な意見を述べた。特に、1941年の御前会議では、軍事と外交のバランスを考慮した発言が評価されている。

晩年と功績

1944年、原は東京都内で胆嚢炎を患い、自宅で静養していたが8月7日に亡くなる。享年78歳で、彼の葬儀は築地本願寺で行われ、特旨により華族に列せられ男爵位が追贈された。戦後、華族制度が廃止されたため、原は日本最後の華族として名を残すことになった。彼の墓は多磨霊園に所在する。

栄典と家族

原は多くの位階と勲章を受章しており、生涯にわたり法曹界や政治界での貢献を認められ続けた。彼は妻や子供たちと共に家庭を持ち、次代にも影響を与える家族を形成した。特に長男は東京大学の教授として学術界でも活躍するなど、原家はその後も影響力を持ち続けることとなる。

まとめ

原 嘉道は、日本の法体系の発展に大きく寄与した人物の一人であり、治安維持法の施行や陪審法の導入といった重要な法律改正に関わっていた。その生涯は、彼の信念や政治的活動によって彩られ、多くの人々に影響を与えたと言える。

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