胆嚢炎

胆嚢炎（Cholecystitis）の概要

胆嚢炎は、胆石や細菌感染などを原因とする胆嚢の炎症です。この病状は急性、慢性、無石性、気腫性の4つのタイプに分かれています。それぞれの種類によって症状や診断方法、治療法が異なるため、次に各タイプについて詳述します。

症状

急性胆嚢炎の場合、最初に感じるのは右上腹部の痛みです。特に深呼吸をすると痛みが増すことがあり、これをMurphy徴候と呼びます。また、右肩甲骨や右の側腹部に痛みを感じることもあります。さらに、吐き気や嘔吐、発熱を伴うことが多いです。高齢者の場合、発熱が見られないこともあります。炎症が長く続くと、腹腔内で癒着が見られることもあり、自然に治癒することもありますが、症状が続く場合には合併症の可能性が高まります。

急性胆嚢炎の合併症には、白血球の増加、胆嚢の壊疽や穿孔、黄疸、膵炎、イレウスなど多岐にわたります。無石胆嚢炎は、大腸菌などの細菌感染や、動脈の閉塞、腫瘍などが原因となり、腹部の痛みや胆嚢の穿孔、壊疽が見られます。

原因

急性胆嚢炎の大部分は胆石によって引き起こされます。胆石が胆嚢管や胆管を塞ぐことで炎症が生じるのです。そのほか、膵酵素の逆流も影響を及ぼすことがあります。無石胆嚢炎は主に細菌感染が原因ですが、長期間の静脈栄養でも発症することがあるため注意が必要です。喫煙もリスク要因とされています。

診断

急性胆嚢炎の診断は、医療ガイドラインに基づいて行われます。診断には以下の3つの要素が重要です。

• - A: 右季肋部や心窩部の痛み、押圧時の痛み、筋性防御、Murphy徴候
• - B: 発熱、白血球数またはCRPの上昇
• - C: 特徴的な画像検査の所見

AまたはBがあり、さらにCを確認することで確定診断となりますが、他の腹部疾患との鑑別も重要です。画像検査には超音波検査、CT、MRIが用いられ、それぞれ胆嚢の状態を評価します。

重症度の分類

胆嚢炎は重症度によって急性、慢性、中等症、軽症に分けられます。

• - 重症急性胆嚢炎: 黄疸や重篤な局所合併症がある場合は、迅速に胆嚢摘出術が必要です。
• - 中等症急性胆嚢炎: 高度の炎症を示すデータがあり、初期治療の後に手術の必要性が判断されます。
• - 軽症急性胆嚢炎: 中等症や重症の基準を満たさないものの、治療に反応しない場合には手術を考慮します。

鑑別疾患

急性胆嚢炎と似た症状を示す疾患としては、胃十二指腸潰瘍、結腸憩室炎、急性膵炎などがあります。また、心疾患やFitz-Hugh-Curtis症候群、胆嚢癌の合併も考えられます。

検査と治療

胆嚢炎が疑われる場合、血液検査や画像診断が行われます。白血球数やCRPの上昇から炎症の存在が示され、超音波検査やCTで胆嚢の状態を確認します。急性胆嚢炎に対しては、原則として胆嚢摘出術が行われ、初期治療として絶飲食や点滴、抗生物質の投与が行われます。

現在、腹腔鏡下胆嚢摘出術が一般的な手法です。これは傷が小さいため、回復が早く、患者への負担も少ないというメリットがあります。ただし、手術中に開腹手術に変更される可能性もあるため、慎重な判断が求められます。

まとめ

胆嚢炎は放置すると合併症を引き起こす危険性があります。症状に気づいたら早期の診断と治療が必要です。胆嚢炎に関する正しい知識を持ち、適切な対応を行うことが重要です。

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