原子力規制局

原子力規制局の概要

原子力規制局（Office for Nuclear Regulation, ONR）は、イギリスにおける民間の原子力産業の安全性を規制することを目的とした独立した機関です。この機関の運営は、原子力産業からの負担金によって支えられています。原子力規制局は、ビジネス・エネルギー・産業戦略省の監督のもとで機能しています。

設立の背景

原子力規制局は、2008年にイギリス政府が発表した報告書に基づいて設立されました。この報告書では、原子力産業に特化した独立した規制機関が必要であると提案されていました。これにより、2011年4月1日に原子力監督機関としての運用が開始され、その後法的な基盤を整備する方針が打ち出されました。2011年には、以前の原子力監督機関や輸送チームを統合して、より一層の効率化を図りました。

初代の議長には、E.ON UKの最高経営責任者を務めたニック・ボールドウィンが任命され、2013年にはジョン・ジェンキンスが最高執行責任者に就任しました。その後、原子力規制局は2013年エネルギー法の一部として正式に設立され、2014年4月1日からは公社として活動を本格化しました。

包括的設計審査（GDA）

原子力規制局は、安全性の確保を目的に新しい原子炉設計に対して包括的設計審査（Generic Design Assessment, GDA）を行います。これは特定の立地に先立って新たな原子炉の設計を評価する手続きです。2006年のエネルギーレビュー報告を契機に導入され、最初に評価された設計はウェスティングハウスのAP1000、アレヴァのEPR、CANDU ACR-1000、GE日立のESBWRの4種でした。

しかし、商業的な理由によりACR-1000とESBWRは審査から撤退し、EPRとAP1000のみが残り、最終的な競争の場に挑みました。AP1000の評価はウェスティングハウスのリクエストにより停止となりました。

日立製作所は2012年にホライゾン・ニュークリア・パワーを買収し、1350MWeの＜有効改良型沸騰水型軽水炉（ABWR）を3基建設する計画も持ち出されました。この設計もイギリスでの審査を受ける必要があり、2013年4月に合意が成立し、約4年にわたる審査が予想されます。

トライデント・プログラム

原子力規制局は主に民間事業を監視しているものの、核兵器に関連する施設、例えばクライド海軍基地やクールポート王立海軍弾薬庫における核事故対応システムの評価にも責任を持っています。

結論

原子力規制局は、イギリスの民間原子力産業における安全性を高めるために設立された重要な機関であり、その役割はますます重要性を増しています。今後は、さらなる技術革新や新たな課題に対応する形で機能の充実が期待されます。

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