原田永之助

原田永之助

原田永之助（はらだ えいのすけ、1892年2月25日 - 1946年12月20日）は、日本の眼科医であり、特にVogt-小柳-原田病（フォークト-コヤナギ-ハラダ病）として知られる疾患の研究で名を残しました。この疾患は、後に彼の名前が冠されることになります。

生涯

原田永之助は、1892年2月25日に熊本県天草郡（現在の天草市御領）で、裁判所書記の父のもとに生まれました。幼少期を球磨郡多良木や天草市本渡で過ごし、熊本県立中学濟々黌、第五高等学校を経て、1913年に東京帝国大学医学部に入学しました。学生時代には陸軍省依託学生となり、1917年に卒業。当初は陸軍軍医として勤務しましたが、後に内科に転じ、駒込病院などで経験を積みました。

結婚を機に、彼は眼科医の道に進むことになります。結婚相手の父が長崎で眼科を開業していた原満里であったことが、彼の転身のきっかけとなりました。1922年1月に東京大学眼科に転向し、石原忍と河本重次郎という二人の著名な眼科医に師事しました。同年12月には、東京の学会で後に彼の名前が冠されることになる疾患に関する研究発表を行っています。

1926年には、原著論文『非化膿性脈絡膜炎の臨床治験補遺（急性瀰漫性脈絡膜炎について）』を日本眼科学会雑誌に発表。学位論文は『諸種の薬剤による前房水の科学的成分の変化にかんする実験的研究』であり、薬理学教室で研究を行いました。

その後、長崎で義父の開業を手伝ったり、熊本陸軍教導学校で軍医として教育に携わったり、軍医中尉として北中国やフィリピンに出征するなど、多岐にわたる活動を行いました。長崎市では開業医としても活躍しましたが、医院は原爆の被害を受けました。1946年12月20日、肺炎によりその生涯を閉じました。

彼の妻は原田道子で、結婚前に長崎大学精神科教授の斎藤茂吉の短歌の弟子でした。

原田病の命名

原田病という名前は、彼の恩師であり色盲研究で知られる石原忍によって広められました。石原は、「原田永之助氏の原著は大正15年の発表であるが、いつとはなしに原田病と称するようになった。昭和4年まではうちの教室では使っていなかった。同年京都大学の高橋氏がその使用に異議を唱えたが、私は原田氏病という病名が使われておれば、あえて抹殺する必要はないと思う。」と述べています。

Vogt-小柳-原田病および病名に関する考察

2007年にHerbort CPとMochizuki Mは、この疾患の歴史を再検証しました。その結果、Vogt以前にも同様の症状の記録が存在することが明らかになりました。Vogtが最初にその症状を記述し、その後、日本の研究者たちがこの疾患について詳しく研究しました。小柳も16例の症例（自験例は6例）を報告しましたが、河本重次郎が1911年にドイツの雑誌に発表した論文が、この分野における重要な貢献の一つとされています。原田永之助は1926年に、以下の5つの特徴を持つ包括的な研究を発表しました。

1. 悪寒や脳膜刺激症状などの前駆症状
2. 両側のぶどう膜炎
3. 両側の網膜剥離
4. 体表面の変化
5. 脊髄液のリンパ球増加

これらの研究により、Vogt-小柳-原田病は重要な疾患として認識されるようになりました。

まとめ

原田永之助は、眼科医としての卓越した才能と、Vogt-小柳-原田病に関する画期的な研究により、医学界に大きな足跡を残しました。彼の生涯と業績は、後世の研究者たちに大きな影響を与え続けています。

参考文献

南熊太『原田永之助博士遺詠業績追憶』上巻、1979年。
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