原田陽平

原田 陽平

日本の工学者であり、東京工業大学物質理工学院にて助教を務める。専門分野はナノテクノロジー、材料科学、そして金属材料物性であり、物質の構造や性質を微細なレベルから探求し、新たな機能を持つ材料の開発や既存材料の高性能化を目指した研究活動を展開している。

略歴

原田陽平は、2009年に千葉大学自然科学研究科物質高次科学専攻の博士後期課程を修了し、博士号を取得した。その後、2010年からは東京工業大学大学院総合理工学研究科において助教として教職に就く。同大学の組織再編を経て、2020年からは現在の東京工業大学物質理工学院にて引き続き助教の職を務めている。

研究活動

研究の焦点は、ナノスケールでの物質制御、様々な材料の特性評価、そして金属の物理的・化学的な性質に関する深い理解にある。特に、軽量構造材料として産業界で広く利用されるマグネシウム合金やアルミニウム合金に関する研究に力を入れている。

具体的には、マグネシウム合金の表面にゾル-ゲル法を用いて酸化セリウム（CeO₂）の薄膜を形成することで、その耐食性や時効硬化特性を向上させる技術に関する研究に取り組み、関連する成果を2011年に複数の学会で発表している。これは、実用的なマグネシウム製品の耐久性向上に繋がる重要なアプローチである。

また、アルミニウムのリサイクルとその高度な資源循環に資する研究も重要なテーマとしている。特に、リサイクル材を用いて製造されるアルミニウム合金板が持つ破断伸びの異方性（方向によって伸びやすさが異なる性質）を解消するための研究に2020年から継続して取り組んでいる。これにより、リサイクル材の成形加工性が向上し、幅広い用途への適用が可能になることが期待される。低温での圧延および焼鈍による集合組織の制御や、共晶シリコン粒子の分散状態などが、板材の異方性に及ぼす影響を詳細に解析している。

これらの研究成果は、学術論文として発表されており、固相スタッド接合における界面組織や温度履歴の解析、ツインロール鋳造技術を用いたアルミニウム合金板やクラッド材の製造と特性評価など、多岐にわたる。さらに、研究で得られた知見は産業界にも還元されており、優れた成形性を持つアルミニウム合金板や、積層複合板への接合に用いるスタッドピン接合装置および方法に関する特許を取得するなど、実用化に向けた取り組みも行っている。

教育活動

東京工業大学物質理工学院材料系において、次世代を担う技術者・研究者の育成にも尽力している。担当科目には、学生が金属材料の性質や加工プロセスを実践的に学ぶ「金属工学実験第一」、「金属工学実験第二」、「金属工学実験第三」といった実験科目が含まれる。また、「金属工学創成プロジェクト」を通じて、学生自身が主体的に課題解決に取り組む能力を養うための指導も行っている。これらの科目を2018年以降、継続して担当している。

所属学協会

以下の主要な学術団体に所属し、学術情報の交換や研究成果の発信を通じて、関連分野の発展に貢献している。

無機マテリアル学会
日本金属学会
公益社団法人 日本セラミックス協会
公益社団法人 日本鋳造工学会
* 一般社団法人 軽金属学会

原田陽平は、基礎研究から応用、そして教育まで、材料科学、特に金属材料工学の分野において多角的な貢献を行っている。

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