原野一博

原野 一博

山口県で生を享けた原野一博（はらの かずひろ）氏は、1949年12月17日にこの世に生まれました。後にプロ野球選手として、短いながらもその道を歩むこととなります。

キャリアの始まり

高校は地元の山口龍谷高等学校で野球に打ち込みました。卒業後、プロの世界を志し、1967年にはドラフト会議による指名ではなく、テストを経てパシフィック・リーグに所属する近鉄バファローズへの入団を果たしました。当時のプロ野球界において、テスト入団は自らの実力を直接球団に示す機会であり、原野氏もこの方法でプロへの扉を開きました。

選手としての特徴と役割

投手であった原野氏は、その投球フォームに特徴を持っていました。サイドスローという、通常のオーバーハンドやスリークォーターとは異なる横手投げに近いフォームからボールを投げ込んでいました。そして、彼の投球において最大の武器とされたのがシンカーボールです。この球種は、打者の手元で小さく沈むように変化するため、タイミングを外したり、ゴロを打たせたりするのに効果的なボールでした。

しかし、プロの世界で彼に与えられた主な役割は、一軍の公式戦で登板する投手としてではなく、チームメイトの打撃練習に付き合う専門の打撃投手としての任務でした。プロ野球チームにおいて、打撃投手は非常に重要な存在です。主力打者が実戦に近い形で投球を打ち込み、コンディションを維持したり、特定の投手の球筋に慣れたりするためには、質の高い投球を数多く投げられる打撃投手の存在が不可欠だからです。原野氏もまた、こうしたチームの縁の下の力持ちとして、日々の練習を支えました。

プロでの歩みと引退

彼はプロフェッショナルとして近鉄バファローズに在籍しましたが、残念ながら一軍の公式戦でマウンドに立つ機会を得ることはありませんでした。おもに二軍で調整を続け、チームの練習を打撃投手として支える日々でした。プロ野球選手としての現役期間は1971年までと、比較的短いものでした。この年をもって、彼はプロ野球選手としてのキャリアに終止符を打ちました。

彼が近鉄バファローズに在籍した期間の背番号は以下の通りです。

1968年 - 1969年: 背番号75
1970年 - 1971年: 背番号55

引退後の動向

プロ野球選手を引退した後、原野氏は新たな道として競輪選手を目指したという情報があります。しかし、その後の具体的な経緯や、実際に競輪選手となったのかどうかなど、詳しい動向については現在のところ明らかになっていません。

短いプロ野球選手としてのキャリアではありましたが、チームの練習を支える重要な役割を担った原野一博氏。その名は、近鉄バファローズの歴史の一員として記憶されています。

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