及川渉

及川 渉（おいかわ わたる）

人物概要

1954年生まれの日本のランドスケープ・アーキテクトであり、現在は北海道造園設計株式会社の取締役会長を務める。北海道におけるランドスケープデザインの分野で長年にわたり活躍し、その専門知識と経験を活かして数多くのプロジェクトに携わってきた。及川氏は、単に空間を設計するだけでなく、自然環境との調和や、利用する人々の視点を重視した景観づくりを追求している。また、業界団体の活動にも積極的に参加し、造園分野全体の発展と、後進の育成にも尽力している。

業界団体での活動

及川氏は、日本の造園およびランドスケープ分野における主要な業界団体の要職を歴任してきた。一般社団法人ランドスケープコンサルタンツ協会では、理事および北海道支部長を務め、地域におけるランドスケープコンサルタントの地位向上や、専門性の向上に貢献した。協会の活動を通じて、会員間の情報交換を促進し、業界が直面する課題への対応に取り組んだ。また、日本造園学会北海道支部の監事としても活動し、学術的な視点から造園学の普及・発展を支えた。これらの活動は、及川氏が業界全体の発展に深い関心を持ち、そのためのリーダーシップを発揮してきたことを示している。

北海道ガーデン文化の創出

及川氏の業績の中でも特に重要なのは、北海道におけるガーデン文化の創出と普及への貢献である。道民が主体となって企画・運営された大型の花博、「ガーデンアイランド北海道」では、その理事として中心的な役割を果たした。この花博は、北海道の豊かな自然と創造性を融合させたものであり、多くの人々にガーデニングの魅力や景観の大切さを伝える機会となった。この活動は、単なる一過性のイベントに終わらず、その後の北海道におけるガーデン文化隆盛の契機となった。及川氏らの尽力により、「ガーデンアイランド北海道」の理念や成果は、北海道各地に点在する美しい庭園を結びつけ、有名な「北海道ガーデン街道」の形成や、それを目的とした「ガーデン・ツーリズム」の発展へと繋がっていった。これらの取り組みは、北海道を国内外に「ガーデンの聖地」として知らしめ、地域経済の活性化や観光振興に大きく貢献している。及川氏の先見性と情熱が、現在の北海道の豊かなガーデン景観の礎を築いたと言えるだろう。

造園従事者の支援と教育

ランドスケープコンサルタンツ協会の北海道支部長として、及川氏は造園分野で働く人々の継続的な能力開発と地位向上にも力を注いだ。特に、関係する緑化団体と緊密に連携し、造園CPD（Continuing Professional Development：継続教育）認定プログラムを北海道で積極的に推進した。このプログラムは、造園設計、施工、管理などに携わる専門家が、常に最新の知識や技術を習得し、専門家としての資質を維持・向上させることを目的としている。及川氏の主導により、地域の実情に合わせた研修会やセミナーが開催され、多くの造園従事者が継続的な学習機会を得ることができた。これは、北海道における造園技術全体のレベルアップに繋がり、より質の高い都市環境や自然景観の創造に貢献している。また、CPDプログラムの普及は、造園という仕事の専門性を高め、従事者の社会的評価を向上させる上でも重要な役割を果たしている。及川氏のこうした取り組みは、短期的なプロジェクトの成功だけでなく、業界全体の長期的な発展と人材育成に対する強いコミットメントを示している。

まとめ

及川 渉氏は、ランドスケープ・アーキテクトとしての卓越した専門知識に加え、業界団体の要職を通じて造園分野全体の発展に貢献してきた人物である。特に、北海道の豊かな自然を活かしたガーデン文化の創出と普及、そして造園従事者の継続的なスキルアップ支援は、地域社会と業界に対して計り知れない影響を与えている。北海道造園設計株式会社の会長として、また一人のランドスケープ・アーキテクトとして、及川氏はこれからも北海道の美しい景観づくりと、それを支える人材の育成に貢献していくことだろう。その多角的な活動は、北海道の景観形成史において重要な位置を占めている。

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