友愛外交

友愛外交

友愛外交（ゆうあいがいこう）は、民主党の鳩山由紀夫が提唱した外交政策であり、「日本と異なる価値観を持つ国々との共存共栄」を目指す方針です。この方針は、鳩山内閣の外交理念の核となり、国際関係における新たなアプローチを模索しました。

概要

鳩山由紀夫は、自民党政権が推進してきた「価値観外交」に対して批判を展開し、価値観が異なる国家を尊重しながら「友愛」の精神で国際関係を築くという新しい外交姿勢を表明しました。この外交方針は、「友愛が導く国家目標」を掲げ、具体的には「東アジア共同体」の構想に基づき、アジア共通通貨の創設を目指しました。

東アジア共同体構想

2009年10月、鳩山内閣の岡田克也外務大臣は、東アジア共同体の概念について、日本、中国、韓国、ASEAN諸国、インド、オーストラリア、ニュージーランドを含む構成を考えていると発表しました。特に、米国を正式な加盟国として含まない形での共同体創設を提唱し、アジアの安定と繁栄を目指しました。同年11月にはAPEC首脳会議に出席し、東アジア共同体構想を広めようとしましたが、米国との経済連携協定を結んだ国々との軋轢が生じ、「日本を除いたアジア統合」の懸念が報じられました。

歴史認識と外交姿勢

鳩山政権は、歴史認識問題に対しても新たなスタンスを見せました。2008年に発表した「政策INDEX2008」では、戦後処理問題や慰安婦問題について謝罪と賠償を行う意向が表明されました。また、歴史教科書問題でも、韓国の懸念に応える形で、日本の教科書が事実を歪曲している点を批判しました。鳩山は韓国の代表と会談し、日韓関係を多国間の関係に発展させる意向を示すなど、従来の対話を重視した外交を進めました。

中国との関係

鳩山は中国共産党とも良好な関係を構築しようとしました。2002年に江沢民と対面した際は、中国の成長を称賛し、友好的な立場を強調しました。顕著な事例として、鳩山内閣のもとでは靖国神社の参拝を自制し、中日関係の改善を模索した姿勢が見受けられました。

韓国との対話

在任中、鳩山は韓国訪問を行い、歴史教科書や在日韓国人の地方参政権に関する問題に対し、誠実に向き合う姿勢を示しました。特に歴史教科書問題では、偏狭なナショナリズムを強く批判し、歴史の正確性を追求する姿勢を貫きました。

評価と批判

友愛外交の思想は、韓国側からは評価されましたが、アジア重視の姿勢は米国との関係の悪化を懸念され、批判も浴びました。時折、鳩山政権の方針は中国に接近し、米国の影響力を排除するものと捉えられ、国際的には懸念の声が上がりました。特に、アジアの構想には領有権問題や経済格差等の課題が残るため、その実現は容易ではないと分析されています。

このように、友愛外交は日本の外交において革新的な視点を提唱しましたが、国内外の政治的状況や歴史問題が交錯する中で、その実現には多くの課題が残されたと言えるでしょう。

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