反万博闘争

反万博闘争とは

反万博闘争は、1970年に開催された大阪万博（日本万国博覧会）におけるキリスト教館の出展を巡り、日本基督教団内部で発生した激しい対立を指します。この闘争は、単なる博覧会への賛否を超え、教団の根本的なあり方を問う深刻な問題へと発展しました。

背景

当時、日本基督教団内には、社会問題への積極的な関与を主張する「社会派」と、教会の伝統的な活動を重視する「教会派」という二つの潮流が存在していました。大阪万博において、日本キリスト教協議会（NCC）とカトリック教会がキリスト教館を出展することに対し、社会派は「体制への迎合」であるとして強く反発しました。

対立の激化

NCC議長の大村勇や東京神学大学（東神大）教授の北森嘉蔵らが推進派の立場を取ったことで、対立は決定的なものとなりました。東神大では、万博反対を訴える学生たちが全学共闘会議を組織し、大学当局と激しく対立しました。大学側は機動隊を導入して学生を排除するなど、事態は深刻化しました。

教団の混乱

社会派と教会派の対立は、教団全体を巻き込む混乱へと発展しました。東京、大阪、兵庫の各教区では総会が開催できない事態となり、特に東京教区では1971年5月の総会が乱闘事件に発展。その後19年もの間、東京教区総会は開催されないという異常事態となりました。この間、教団執行部は社会派が主導し、東神大を中心とする教会派との対立が継続しました。

社会派の主張

1972年の教団問題協議会において、堀光男は自身のキリスト教観を「革命家イエス」であると述べ、体制への反抗を主張しました。岩井健作は、伝道を「教勢拡張主義」であると批判し、教会派の姿勢を非難しました。これらの発言は、社会派の過激な主張を象徴するものとして、教会派との溝をさらに深めました。

影響

この闘争は、教団内に深い傷跡を残しました。青山学院大学神学科、関東学院大学神学部といったキリスト教系大学の神学部が廃止されるなど、教育機関にも大きな影響を与えました。反万博闘争は、単なる一過性の出来事ではなく、日本基督教団のあり方を根底から揺るがす出来事であり、その影響は現在にも及んでいると言えるでしょう。

まとめ

反万博闘争は、1970年代の日本における宗教と社会の関わり方について、重要な問いを投げかけた出来事でした。この闘争は、教団内部の対立を浮き彫りにし、その後の教団運営にも大きな影響を与えました。また、キリスト教が社会とどのように関わるべきかという、現代にも通じる問題を提起しました。


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