反民族行為処罰法

反民族行為処罰法の概要

反民族行為処罰法（はんみんぞくこういしょばつほう）、通称反民法は、大韓民国において1948年9月22日に制定された、親日行為を取り締まるための法律です。この法律は、国会による反民族行為特別調査委員会（反民特委）を設置し、特別な手続きを通じて一審のみで非常に重い罰則を科す仕組みを持っています。特に、死刑を含んだ重刑が認められるため、その影響は極めて大きいものでした。

経緯

親日派に対する排斥運動は、アメリカ軍政庁の下での南朝鮮過渡立法議院の時期から始まっていました。この時期、立法議院は「民族反逆者、附日協力者、謀利奸商輩に関する特別法」を提案しましたが、アメリカ軍政庁により拒否され、成立しませんでした。その後、1948年5月10日に総選挙が実施され、5月31日には制憲国会が開かれます。ここで大韓民国憲法と共に、反民族行為処罰法が制定されることとなります。

法律の構造と内容

反民族行為処罰法は、全体で3章32条から構成され、各章は以下の内容を扱っています。

• - 第1章 罪: どのような行為が反民族行為とされ、どのような罰則が科されるのかが定められています。
• - 第2章 特別調査委員会: 反民族行為を調査するための特別な組織、すなわち反民特委に関する規定が記されています。
• - 第3章 特別裁判部の構成と手続き: 特別裁判所の設立や裁判手続きについての詳細が規定されています。

罰則内容

反民族行為処罰法では、以下のような厳罰が規定されています：

• - 韓国併合に加担した者は、死刑または無期懲役に処せられ、その財産の全てまたは50%以上が没収されます。
• - 朝鮮貴族に叙爵を受けたり、帝国議会議員だった者は、最低でも5年以上の懲役が科され、財産没収が行われます。
• - 独立運動家やその家族を迫害した者も、死刑または無期懲役に処せられ、財産の一部または全部が没収されます。
• - その他、特定の地位や行為に基づく者には、10年以下の懲役や公民権の停止が科せられることがあります。

特別調査機関と裁判所

反民族行為処罰法に基づき、専門的な調査機関である反民族行為特別調査機関が設立され、委員会が地方単位で運営されました。また、特別裁判所も設けられ、反民族行為に関する事案を一審で審理するための機関が設立されました。

この特別裁判部は、大法院（最高裁判所）内に設けられ、反民族行為を専門に扱うものであり、その権限は非常に広範囲に及ぶものでした。さらには、「特警隊」と称される特別な司法警察職員も新設され、通常の警察よりも強力な権限を持ち、逮捕や取調べを行うことが許されていました。

警察機関の変化と混乱

韓国警察は、アメリカ軍政庁によって戦前の日本の警察組織を継承して作られました。このため、日本統治時代からの警察活動に従事していた多くの者が関与しており、当時の政治的状況の中で広範囲に逮捕者が出ることとなりました。これにより、李承晩大統領は特警隊を解散させるなど、権力基盤の維持に苦慮していました。この混乱は、法の適用や実力行使の難しさを浮き彫りにしました。

反民族行為処罰法の廃止

最終的に、反民族行為処罰法に基づく調査や審理の過程では多くの問題が指摘され、その運用が白紙撤回されることとなりました。特に、反民特委は2000年に廃止され、法的な整理が進められる結果となりました。時代の変化とともにこの法律の結果も変わり、今ではさまざまな視点から再評価されています。

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