朝鮮貴族

朝鮮貴族について

朝鮮貴族（ちょうせんきぞく）は、大正時代から昭和時代にかけて日本の貴族制度の一環として設けられた身分制度である。朝鮮半島の旧李朝王室とその血族、そしてそのほかの日韓併合において功労のある人物に与えられた。この制度は1910年に施行された日韓併合の結果生じ、その後1947年に廃止されるまで続いた。

朝鮮貴族令の成立と背景

1910年の日本と韓国の併合にともない、日韓併合条約の第5条に基づいて「朝鮮貴族令」が制定された。この法律は、旧李朝の公族のうち特定の者に爵位を与え、特権を享受させることを目的としていた。具体的には、爵位には公・侯・伯・子・男の五段階があり、実際には76名が爵位を取得したが、公爵は存在しなかった。

朝鮮貴族は、華族と同様の礼遇を受けたが、特定の権利、たとえば貴族院議員としての地位は与えられていない。これは朝鮮貴族が日本の議会制度において無視されたことの表れである。彼らには、叙位、世襲財産の設定、学習院への入学など、いくつかの特権があった。

家系の継承と貴族の現状

朝鮮貴族と認められるには、当主及びその配偶者、相続人、その長子、先代の父母も含まれるため、家系を持つことが不可欠であった。多くの家系が創始始名を変更せず、その名を受け継いでいったが、昭和期に入ると経済の困窮が余儀なくされ、相当数の朝鮮貴族が貧しい生活を強いられた。

主要な朝鮮貴族の顔ぶれ

歴代の朝鮮貴族の中には、李載完や李永柱などの著名な人物が含まれている。彼らは日本において重要な役職を占めていた。たとえば、李完用は1907年に大韓帝国の内閣総理大臣に就任し、日韓併合に大きく関与したことで知られている。また、彼の後には李丙吉が相続し、時代とともに朝鮮貴族の名声が高まっていく一方で、その権威は次第に失われていった。

さらに、伯爵に昇進した宋秉畯や閔泳璘も存在し、それぞれの家系には多くの相続人が名を連ねていた。多くは資産家として貴族的な特権を守り続けたが、時に経済的な困難に直面することも珍しくなかった。

朝鮮貴族の評価と批判

独立以降、朝鮮貴族は「乙巳五賊」や「丁未七賊」として、親日派として批判される存在となった。このような歴史的評価は、彼らが日韓併合時に果たした役割に由来する。特に李完用等のメンバーは、韓国において今なお否定的に捉えられている。こうした批判は、彼らの名声に影を落としている。

結論

朝鮮貴族は、日本の貴族制度の一部として、日韓併合の時代に特有の階層を形成した。その背景には様々な歴史的要因があり、彼らの名声や現代における評価は複雑である。朝鮮貴族の栄枯盛衰は、当時の社会情勢と密接に関連しており、今でも学術的な研究の対象として注目されている。

もう一度検索