反都市化

反都市化の概要

反都市化（はんとしか）とは、大都市中心部から郊外や非都市圏に向けて人口が流出する現象を指します。この現象は、従来の都市化による人口集中の流れとは逆の動きであり、逆都市化とも呼ばれています。特に1970年代以降、欧米の大都市において顕著に見られるようになりました。

反都市化の背景

都市化が進行する中で、過密な都市環境や都市問題が発生しています。そのため、地価の安い郊外や非都市圏への企業の移転が進み、加えて都市住民がより良い生活環境を求めてこれらの地域へと移動するケースが増加しました。こうした流れが進むことで、都市中心部では人々の流出や活動の減少が見られ、インナーシティ問題が深刻化しています。

特に1970年代のアメリカでは、非都市圏における人口増加率が大都市圏を上回るという逆転現象が見られました。この動向を研究者のブライアン・ベリーは、反都市化という用語で説明しました。また、L・H・クラーセンは、都市圏の人口変動を都市化、郊外化、反都市化、再都市化という段階に分類してモデル化しました。

日本での反都市化

日本においても、特に近畿地域では1970年代後半から郊外への人口流出が顕著になりました。内閣府の報告書『地域の経済 2011』では、この動きに対して逆都市化の現象が言及されています。最近では、特に中華人民共和国などの急速に都市化が進む国でも、社会的および政治的要因による反都市化が観察されています。

反都市化の影響

反都市化は、人口の分散を促進し、所得格差や地域間の不均衡を生む要因となることがあります。都市から人口が流出することによって、中心部の経済活動が衰退し、過疎化や縮退都市の形成につながることも懸念されています。特に、経済的な理由や居住環境を求める動きが強まる中で、反都市化はますます重要なテーマとなっています。

現代の視点

現在の反都市化という現象は、単に過疎化や都市の衰退をもたらすだけでなく、地域の振興策や持続可能な都市計画の観点からも重要な意味を持っています。この現象を理解することで、都市と郊外の関係がどのように変化しているか、また将来にわたる地域社会の構築がどのように進められるのかを考えるヒントが得られます。

参考文献

• - Berry, B. J. L. (1976). “The counterurbanization process: urban American since 1970”. Sage.
• - 高橋伸夫、菅野峰明、村山祐司、伊藤悟『新しい都市地理学』東洋書林、1997年。
• - 森川洋「人口の逆転現象ないしは「反都市化現象」に関する研究動向」『地理学評論 Ser. A』第61巻第9号、1988年。

反都市化の動向は、多様な視点からの考察が求められるトピックです。

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