周辺光量

周辺光量とは

周辺光量とは、光学レンズの中心部と縁辺部で明るさに差が生じる現象のことです。特に写真撮影においては、撮影された画像において、中心部が明るく、周辺部が暗くなる現象として認識されます。この現象は、レンズの特性を理解する上で重要な要素の一つです。

周辺光量低下の原因

周辺光量の低下には、主に二つの原因があります。

1. 口径食

レンズを通過する光が、絞りによって遮られることで発生します。レンズの中心部を通る光は遮られにくい一方、周辺部を通る光は遮られやすいため、周辺部の明るさが低下します。絞りを絞ることで、この影響を軽減することができます。

2. コサイン4乗則

光が結像面に到達する角度によって、明るさが変化する現象です。光軸の中心に近いほど光が垂直に近い角度で到達するため明るく、中心から離れるほど角度が大きくなり、明るさが低下します。この現象は絞りの設定とは無関係に発生し、特に広角レンズで顕著に見られます。

コサイン4乗則による影響は、画角が広くなるほど大きくなります。特に、対称型の超広角レンズで問題となりやすいですが、逆望遠型の広角レンズでは比較的影響が少ないとされています。

イメージサークル

写真レンズでは、周辺光量低下の影響が少なく、良好な像が得られる円盤状の範囲をイメージサークルと呼びます。レンズは、撮像素子などの撮像範囲の対角線よりもわずかに大きなイメージサークルを持つように設計されています。そのため、フォーマットの異なる撮影システムでレンズを流用する場合、イメージサークルの違いによって周辺光量低下が問題となることがあります。

その他の周辺光量低下の要因

レンズフードなどのアクセサリーがレンズに適切に取り付けられていない場合にも、周辺光量低下が発生することがあります。この場合は「ケラレ」と呼ばれます。レンズの設計に合わせて作られた専用のアクセサリーを使用することで、この問題を回避することができます。しかし、汎用品を使用する場合は、撮影者が注意する必要があります。特に、超広角域をカバーする高倍率ズームレンズでは、専用のアクセサリーを使用した場合でも注意が必要です。

周辺光量とF値

周辺光量の低下は、レンズのF値（絞り値）とも関連があります。一般的に、絞りを開放（F値が小さい）状態にすると、周辺光量の低下が大きくなる傾向があります。絞りを絞る（F値が大きくなる）ことで、周辺光量の低下をある程度抑えることができます。

周辺光量の対策

周辺光量低下を完全に無くすことは難しいですが、以下の対策により、ある程度軽減することが可能です。

絞りを絞る：口径食による周辺光量低下を軽減できます。
レンズの選択：コサイン4乗則の影響を軽減するため、逆望遠型の広角レンズを選択する。
専用アクセサリーの使用：レンズフードなどを正しく装着する。
画像処理：画像編集ソフトで周辺光量補正を行う。

まとめ

周辺光量は、レンズの特性を理解する上で重要な要素です。写真撮影においては、画像の一部が暗くなってしまう原因にもなり得ますが、その原因や対策を理解することで、より質の高い写真撮影が可能になります。

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