口腔診断学

口腔診断学

口腔診断学は、歯学の一分野であり、顎口腔領域における病態や症状について、診査および診断法を研究・分析する学問です。

概要

口腔内には、歯や歯周組織はもちろんのこと、唇、舌、口腔粘膜が存在し、気道や食道と繋がっています。さらに、粘膜には唾液腺が、歯槽粘膜下には顎骨が、その他の粘膜下には咀嚼筋が存在するなど、複雑な構造をしています。特に、歯牙硬組織の存在は、全身における口腔の主要な特徴として挙げられます。

口腔疾患においては、まず診査を行い、その後に診断、処置へと進みます。口腔内の特異性として歯牙硬組織の存在がありますが、それとは関係なく、各種医療面接が行われます。

医療面接

医療面接では、患者の主訴、現病歴、既往歴、家族歴などの病歴を聴取します。これらの情報は、疾患の原因や背景を特定するために重要です。

主訴

主訴とは、患者が訴える主な症状のことです。患者の訴えをそのまま記載することが一般的です。例えば、「歯が痛い」「口内炎ができた」などが主訴として挙げられます。

現病歴

現病歴とは、患者が訴える主訴について、その症状がいつからどのように始まったのか、どのような経過を辿っているのかを記録したものです。部位、原因、途中から現れたその他の症状などを詳しく記載します。

既往歴

既往歴とは、患者が過去に罹患した疾病の履歴です。過去の疾患との関連性を特定したり、慢性疾患における常用薬の影響を把握したりするために重要です。例えば、糖尿病や高血圧などの既往歴は、口腔疾患の治療方針に影響を与える可能性があります。

家族歴

家族歴とは、患者の血縁者や同居者の疾病の履歴です。遺伝的要因や環境的要因を特定するのに役立ちます。例えば、歯周病や口腔がんなどの家族歴は、患者自身の罹患リスクを評価する上で重要な情報となります。

これらの情報は、あらゆる疾患において共通して重要なものです。

各種検査

医療面接によって現症を把握した後、患部の診査を行います。一般的には、人間の五感（視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚）を利用した理学的検査を用います。診査の種類としては、視診、触診、聴診、打診などがあります。また、X線検査や病理検査などの臨床検査も、診査診断に利用されます。

視診

視診は、肉眼で患部の状態を観察する検査です。炎症の有無、腫瘍の有無、潰瘍の有無などを確認します。

触診

触診は、指で患部を触って状態を把握する検査です。腫れの程度、硬さ、圧痛の有無などを確認します。

聴診

聴診は、聴診器を用いて患部の音を聴く検査です。顎関節の雑音などを確認します。

打診

打診は、指で患部を叩いて、その音を聴く検査です。歯の根の状態などを確認します。

X線検査

X線検査は、放射線を用いて患部の状態を画像化する検査です。虫歯の有無、歯周病の進行度、顎骨の状態などを確認します。

病理検査

病理検査は、採取した組織を顕微鏡で観察する検査です。がん細胞の有無などを確認します。

関連項目

* 歯学

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