唾液腺

唾液腺について

唾液腺は動物の唾液を生成する腺で、主に口腔内に導管が開口しています。これらは大唾液腺と小唾液腺に分類され、特に脊椎動物では耳下腺、顎下腺、そして哺乳類に特有の舌下腺が存在します。

大唾液腺

耳下腺

耳下腺は大唾液腺の中で最も大きく、三角形の形状をしています。位置としては外耳道の前下方にあり、その後方には胸鎖乳突筋や茎状突起から派生する筋肉に接しています。耳下腺管は約5〜6cmの長さで、頬筋と粘膜を通り、上顎第2大臼歯の高さにある耳下腺乳頭で口腔に開口します。顕微鏡での観察では、耳下腺は純漿液性の組織であり、複合包状腺の特性を持っています。細胞は漿液細胞と呼ばれ、蛋白質合成のための構造が多く見られます。耳下腺の間質には脂肪組織が豊富に含まれています。

顎下腺

顎下腺は耳下腺に次ぐ大きさで、楕円形をしており、位置は顎舌骨筋の下にあります。この腺の後端から顎下腺管が出て、舌下小丘に接続しています。顕微鏡で見ると、顎下腺は主に漿液性ですが、部分的に混合性であり、腺内には緻密な結合組織が密集しています。漿液細胞は群れを成して粘液細胞と混在し、半月の形状を作ります。

舌下腺

舌下腺は口腔底の粘膜下に位置し、顎舌骨筋の上にあります。この腺は主に混合性で、形状は複合管状胞状腺です。舌下腺は大舌下腺管と多数の小舌下腺管を持ち、最終的には舌下小丘に開口します。顕微鏡で見ると、終末部間の結合組織が多く、腺小葉の構成が疎です。

小唾液腺

小唾液腺は口腔のさまざまな部位に存在し、口唇腺や頬腺、臼歯腺、口蓋腺、舌のそれぞれに特化した腺があります。これらは通常、混合性の腺であり、さまざまな機能を持っています。

ヒト以外の唾液腺

ヒト以外の脊椎動物にも大唾液腺があり、肉食獣には頬骨腺、ウサギには眼窩下腺が存在します。また、エゾバイ科の巻貝にも唾液腺があり、特定の種の唾液腺には食中毒を引き起こす成分が含まれているため、注意が必要です。

唾液腺の病気

唾液腺は様々な病気に影響を受けることがあります。感染症による唾液腺炎や自己免疫性疾患のシェーグレン症候群、唾石症、そして腫瘍などが代表的な病気です。これらの病気は、耳鼻咽喉科や歯科などの専門家により診断・治療が行われることが多いです。

関連項目

唾液腺の健康管理やそれに関連する疾患についての知識は、医療や歯科の分野において重要です。唾液腺の機能を理解することで、日常的な口腔ケアを効果的に行うことが可能となります。

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