古今目録抄

『古今目録抄（ここんもくろくしょう）』は、鎌倉時代前半期に法隆寺の僧侶であった顕真（けんしん）によって著述された書物です。この書は、法隆寺の寺誌と聖徳太子伝に関する秘事口伝を記録したもので、中世における太子信仰や法隆寺に関する貴重な歴史資料として重要な位置を占めています。別名として「聖徳太子伝私記（しょうとくたいしでんしき）」とも呼ばれています。

顕真自筆の草稿本は、その価値の高さから国の重要文化財に指定されています。

概要

13世紀前半、法隆寺の僧侶であった顕真が、『古今目録抄』を上下2巻にまとめました。上巻には、師である隆詮（りゅうせん）から伝授された法隆寺の寺誌と聖徳太子伝が記述されています。下巻には、聖徳太子の舎人（とねり）であった調使麻呂（つきのつかいまろ）に関する言い伝えと、顕真自身が調使麻呂の直系の子孫であるという系譜が記されています。

伝本

『古今目録抄』には、いくつかの伝本が存在します。主なものとして、以下の2つが挙げられます。

1. 顕真草稿本

東京国立博物館に所蔵（法隆寺献納宝物18号）。
「聖徳太子伝私記（古今目録抄） 顕真筆 2帖」として、重要文化財に指定（1957年（昭和32年）6月18日指定）。
顕真自筆の草稿本であり、随所に加筆や訂正の跡が見られます。裏書には、以下のような重要な記述が含まれています。
百済観音について：金堂に関する記述の部分の裏書に「橘寺の所の者より送るなり」とあり、同像の橘寺への移送説の根拠となっています。
中宮寺の由緒について：「葦垣宮、岡本宮、鵤宮（いかるがのみや）の3つの宮の中にあった宮なので中宮といい、それを寺にした時に中宮寺と号した」と記載されています。

2. 写本

東京国立博物館に所蔵（法隆寺献納宝物19号）。
失われた完本から写された室町時代の写本。
内容は整然と記述されており、上記の草稿本とは記事の量や順序に大きな相違があります。上中下3巻の分冊になっています。

関連文献

顯眞『顯眞自筆古今目録 : 附：聖徳太子傳』 上巻・下巻、同研究会編・校訂、鵤叢刊會、1934年 - 原本転写版

外部リンク

e国宝『古今目録抄（聖徳太子伝私記）』

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