舎人

舎人（とねり）についての詳細

舎人（とねり）とは、主に古代日本において皇族や貴族に仕え、その近侍として警備や雑務などの職務を担った官職のことです。舎人は、ヤマト王権時代から存在し、その後律令制度が成立する中で、より組織的・制度的に整備されました。特に天武[[天皇]]の時代にあたる673年、舎人を志望する者を大舎人寮に配置する制度が設けられ、この職務は公式に位置付けられることとなります。

律令制度下では、舎人はさまざまな形態で存在しました。内舎人（定員90名）、大舎人（左右各800名、計1600名）、東宮舎人（600名、うち30名がその役割としての帯刀舎人）、中宮舎人（400名）など、規模が大きく設定され、多くの者がその役職についていました。ここで興味深いのは、三位以上の公卿の子弟は21歳で内舎人として出仕させられること、また五位以上の貴族の子弟の中から選考が行われ、容姿と能力に優れた者が内舎人になることです。それ以外の者は大舎人や東宮舎人、中宮舎人として役割を果たしました。

舎人の主な職務は、宿直や護衛、その他の雑用に従事するものでしたが、こうした職務を通じて彼らは官人として必要な知識や天皇への忠誠を学ぶ機会を得ました。律令制の任官制度においては、舎人に任じられた者は一定の期間後に選考を経て、正式な官人として登用される流れがあり、これにより支配階層の再生産に寄与したといえます。地方出身者にとっては、帰郷後に在庁官人や郡司として任命される道が開かれていました。

また、舎人制度は、国の支配体系においても重要な役割を果たし、朝廷は各層から舎人を集めることで、その影響力を広げる戦略を取っていました。このような舎人の存在は、地方の地名にまで影響を及ぼしており、出雲国風土記に見られる舎人郷のような地名からもその痕跡が確認できます。

しかし、平安時代に入ると舎人に志望する者が減少し、本来の舎人の資格を持たない外位者や白丁の子弟からもその不足分を補うようになっていきます。このように、職務に対する志望者が減少したことや、舎人の身分を悪用して違法行為を行う者が出現したことが、制度の衰退につながる要因となりました。そのため、「舎人」という呼称自体が次第に使用されなくなっていったのです。

こうした歴史を経て、舎人は古代日本の重要な官職としての役割を果たしながらも、時代の流れとともにその姿を変えていきました。現在ではその詳細な制度や役割が注目され、古代日本の社会構造や政治体制を探る上で欠かせない要素とされています。

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