古味直志短編集 恋の神様

『古味直志短編集 恋の神様』は、漫画家・古味直志氏にとって初の短編集として、2014年4月に集英社から刊行されました。収録されているのは、氏がデビューから『ニセコイ』を連載するまでの間に、『週刊少年ジャンプ』やその増刊号、『ジャンプSQ』といった雑誌に掲載された6つの読切作品です。

短編集のタイトルにもなっている『恋の神様』をはじめ、『island』、『ウィリアムス』、『ペルソナント』、『APPLE』、そして連載版『ニセコイ』の原型となった『ニセコイ（読切版）』が収録されています。各作品には古味氏自身によるコメントやカットが添えられ、巻末には描き下ろしの4コマ漫画も収録されており、ファンにとっては見逃せない内容となっています。

収録作品について

island: 古味氏のデビュー作となるファンタジー作品。高い壁に囲まれた世界で暮らす少女たちの、外の世界への憧れを描いています。麻生周一先生も好きな作品として挙げています。
恋の神様: 初めてラブコメに挑戦した作品。男子高校生が転校生の女の子に一目惚れするものの、神様もその女の子に恋をしているというストーリー。この作品が『ニセコイ』連載のきっかけとなりました。YouTubeのジャンプチャンネルでボイスコミック化もされています。
ウィリアムス: ロー・ファンタジー作品。少年ウィリアムが、冒険小説の内容を信じて、小説に描かれた剣を求めて冒険に出る物語。少年層だけでなく大人からも反響がありました。
ペルソナント: 全員が仮面を着けている社会で、唯一仮面を着けていない男性と女性記者の交流を描いた作品。
APPLE: 少年が、地球が生み出した生命体として政府に狙われるSF作品。あらゆる生物に変身できる少年と、APPLE誕生を予言した科学者の物語。YouTubeのジャンプチャンネルでボイスコミック化されています。
ニセコイ（読切版）: 連載版『ニセコイ』の原型となったラブコメディ。ヤクザの息子である男子高校生と、ギャングの娘である転校生が、お互いの組織の抗争を避けるために恋人のふりをするというストーリー。連載版とは設定が異なる部分もあります。

この短編集は、古味直志氏の初期の作品群を通じて、その作風の変遷や、後の代表作『ニセコイ』へと繋がる萌芽を垣間見ることができる貴重な一冊と言えるでしょう。

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