古川久

古川久（ふるかわ ひさし）について

古川久は、1909年2月2日に愛知県名古屋市で生まれ、1994年8月15日に亡くなった日本の国文学者です。彼は東京女子大学で名誉教授として知られ、その文学的業績は広く認知されています。彼の主な研究対象は能楽や狂言であり、日本の伝統芸能の深い理解をもとに多くの著作を残しました。

略歴

古川は、東北帝国大学国文科を卒業後、松本高等学校で教授として教鞭を執り、その後、宇都宮大学助教授、そして東京女子大学教授を歴任しました。1968年に東京女子大学を定年退職した後、名誉教授としての地位を得、さらに東京農業大学や武蔵野女子大学でも教授として教えました。1952年から1981年にかけては法政大学能楽研究所でも兼任所員を務め、彼の専門である能楽や狂言の研究に尽力しました。また、師である小宮豊隆の助けを借りて戦後の岩波書店から出版された『漱石全集』の編纂にも携わり、夏目漱石に関する研究も行っていました。

主な著書

古川久の著作群は多岐にわたり、重要な研究書や解説書が数多く存在します。1940年に私家版として発表した『裏南洋景観』を皮切りに、1948年には『狂言の研究』を出版、これにより彼の名前が広く知れ渡りました。1960年には『狂言の世界』・『能の世界』を刊行し、能楽や狂言の魅力を多くの人々に伝えました。1970年には『漱石の書簡』を発表し、漱石文学への考察を深めています。

彼の研究は、より深い理解と洞察に基づいており、特に能楽と言語の関係性についての考察が高く評価されました。彼の著作の中でも『世阿弥・芭蕉・馬琴』や『明治能楽史序説』、さらには『夏目漱石 仏教・漢文学との関連』などは、著名な文学作品とその時代背景に関する重要な文献とされています。また、彼は共編著として『青春への出発 阿部次郎のことば』や『夏目漱石辞典』など、多くの書籍の編集にも携わっています。

校訂・編纂活動

古川は著作だけでなく、さまざまな文献の校訂や編纂にも貢献しました。1948年には『謡曲狂言新選』を編纂し、1950年には『狂言全釈 評註』を発表しました。また、『日本古典全書、狂言集』の校注を行い、古典文学の重要な資料を後世に伝える活動にも尽力しました。これらの活動を通じて、彼は日本の伝統文化を深く理解し、広めることに貢献しました。

記念文集

古川久の業績を称えた記念文集『菊豆腐』が1980年に刊行され、彼の学問への貢献を振り返る重要な資料となっています。古川の精神や学問は多くの後進の研究者に影響を与え、彼の業績は今もなお日本文学研究の基盤となっています。彼の研究熱心な姿勢と深い洞察は、国文学界における彼の重要性を物語っています。

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