古文書

古文書とは

古文書（こもんじょ）は、特定の相手に向けた意図的な意思表示として作成された文書です。一般に「古い文書」を指す場合もありますが、歴史学の分野では特に、古記録と区別されることがあります。

日本における古文書

日本の歴史学においては、文献史料は大きく二つに分けられ、古文書と古記録というカテゴリーで扱われます。古文書は、特定の受取人の存在を前提として作成されるもので、双方的な意志のやり取りが記録されています。それに対して、古記録は一方的な意思表示を含むものであり、受取人が不特定です。このため、古文書は一次史料と見なされることが多いのに対し、古記録は二次史料に分類されることがあります。

古文書は様々な形で保存されています。一つは原本、つまりその時代の「正文」と呼ばれる原資料が、宛先にそのまま伝わる形です。また、差出人が自家に保管している下書きの形でも保存されています。これらの文書が改めて写しを作成されることも多く、こうした写しは「案文」と呼ばれます。さらに、機能を終えた文書の裏を利用して新たな写本が作成されたり、裏面に草案が記されたりすることもあり、こうした文書を「紙背文書」といいます。

古文書の指定と文化財

1975年からは、日本の国宝や重要文化財に指定されている古文書に特化した基準が設けられました。この時期以降、古文書は「書跡・典籍の部」とは異なる「古文書の部」として独立した評価基準を持つことになりました。これには手紙や日記、系図、絵図など多岐にわたる文書が含まれています。

古文書学

古文書を研究いする学問分野を古文書学と呼び、史料学の一分野に位置付けられています。この領域では、古文書の様式分類とその解読が中心的なテーマであり、多くの場合、大学の文学部や歴史学科で専門的な講座が設けられています。古文書学は明治時代から本格的に研究され始め、特に西洋の実証主義がその方法論に影響を与えました。

古文書の研究は、古文書の保有者からの資料調査を通じて行われ、文書の状態や内容の解読など細かな分析がなされます。このような調査は趣向が分かれることが多いため、複数の調査員による協力が一般的です。新発見の古文書はその価値から学術的な文献に翻刻されることがあります。

古文書の形態

古文書は多くの場合、料紙と呼ばれる和紙に記されています。料紙はさまざまな形状で使われ、その使用方法によって「竪紙」や「切紙」、「巻物」などの様式に分けられます。文書の内容やサイズ、形式は、その情報の重要性を示す要素として特に選択されます。

古文書の敬意表現

古文書には敬意を表すための独特な表現方法が存在します。例えば、候文や闕字、平出、擡頭などの形式で、天皇や重要な人物に対する敬意を示します。これらの形式は、古文書特有の文学的な魅力に貢献しています。

海外の古文書

西洋では古文書学が独自の進展を遂げ、古書体学、文書形式学、印章学などが重要な分野として存在します。西洋の古文書も特定の形式と構造に従い、難解な専門用語が多用されるため、研究は複雑なものとなっています。

まとめ

古文書は日本の歴史と文化を理解するための重要な資料であり、多様な形式や歴史的背景を持っています。古文書学の発展により、これらの文書に秘められた意味や意義がますます解明され続けています。

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