古楽の楽しみ

古楽の楽しみ

NHK-FMが放送中のクラシック音楽番組『古楽の楽しみ』は、2011年3月28日に放送を開始しました。これは、50年以上にわたり同時刻に親しまれてきた『バロック音楽の楽しみ』などの前身番組を改題・リニューアルしたもので、その豊かな歴史と伝統を引き継いでいます。

番組が焦点を当てるのは、中世、ルネサンス、バロックといった時代の「古楽」です。これらの多様な作品群を、深い専門知識を持つ「ご案内」と呼ばれるパーソナリティたちの解説とともに紹介しています。

放送は月曜日から金曜日まで。月曜から木曜は毎週一つのテーマを設定し、関連する楽曲を選曲・紹介するスタイルです。これにより、リスナーは特定の時代や作曲家、楽器などに焦点を当てた体系的な知識を得ることができます。金曜日はリスナーからのリクエストに応える時間。開始当初は日曜日にもリクエスト枠がありましたが、現在は金曜日のみです。金曜のリクエスト頻度も変わり、2018年からは月2回（第一・第三）、2024年4月からは月2回（第二・第四）となっています。かつての日曜放送は、初期半年はルネサンス以前の音楽特集、その後リクエスト枠となり、2012年春に終了しました。

放送時間も変遷を経ています。長らく早朝の特定時間帯でしたが、2022年度からは午前5時台に移動。しかし、2024年度からは再び元の午前6時台に戻されました。

本番組の大きな特徴は、複数の専門家が週替わりで「ご案内」を務める点です。音楽学者、演奏家、大学教授など、各分野の第一線で活躍する方々が、専門知識に基づいた詳細な解説を提供します。開始当初からの担当者に加え、2016年には鈴木優人氏、渡邊孝氏などが参加。その後も2020年頃に藤原一弘氏、2023年には宮崎晴代氏、赤塚健太郎氏、安川智子氏らが加わり、解説陣は拡充・多様化しています。惜しくも礒山雅氏は2018年に逝去されました。今谷和徳氏や関根敏子氏も2023年までに担当を終えています。金曜のリクエストは現在、大塚直哉氏が主に担当しています。

番組のオープニングとエンディングには、ヘンデル作曲「水の上の音楽」が用いられています。開始時にヘ長調版「アレグロ」、終了時に同じくヘ長調版「パスピエ」が流れ、古楽の世界への心地よい導入となっています。

『古楽の楽しみ』は、専門性と親しみやすさを兼ね備え、長年にわたりNHK-FMにおける古楽紹介の中心として、多くのリスナーに愛されています。古楽の奥深い世界を探求するための貴重な番組と言えるでしょう。

もう一度検索