古海忠之

古海 忠之の生涯

古海忠之（ふるみ ただゆき）は1900年5月5日に東京府で生まれ、1983年8月23日に83歳で亡くなった。彼は日本の大蔵官僚、満洲国官僚および実業家として知られている。彼の経歴は、政治、経済、さらには軍事にまたがる幅広いものであり、特に満洲国での活動が注目される。

学生時代と官僚としてのスタート

古海は京都一中、三高を経て東京帝国大学法学部政治学科に進学。在学中は野球部に所属し、主にキャッチャーとしてプレーしていた。また、ラグビー部にも在籍しており、多様なスポーツを楽しむ学生生活を送っていた。1924年に大学を卒業後、大蔵省に入省。彼の入省同期には後に満洲国経済部次長に就任する青木実や、戦後、シベリア抑留を経験し合同証券の会長となる難波経一がいた。

満洲国での活動

1932年、満洲国が建国されると、古海は関東軍から選ばれ、満洲国派遣官吏として活動することになる。アヘン問題が深刻な満洲において、彼はアヘン漸減政策の遂行に関与し、国有化を進める。1938年には興亜院の設立に携わり、同機関と折衝する役割を果たした。

古海は経済部次長や総務庁次長としても活動し、特に経済政策の策定に関与した。この頃、彼は満洲国の政策決定の中心的な役割を担い、「満州国の副総理」と呼ばれることもあった。彼の活動は、戦時下における日本の戦費調達とも深く結びついていた。

権力闘争とシベリア抑留

しかし、満洲国内での権力闘争も彼の生涯には影を落とした。1937年には、満洲国協和会指導部長に推されるも拒否。その後、甘粕正彦の推薦によって就任することになったが、協和会内での重要なポジションを巡る対立が生じ、彼は石原莞爾との激しいバトルに巻き込まれる。古海の指導の元、協和会は組織改革を試みたが、最終的には古海も解任された。

1945年、日本の敗戦後、古海はソ連軍に逮捕され、シベリア抑留を受けることになった。この期間中、彼は重労働を強いられ、極寒の地での過酷な生活を余儀なくされた。彼のその後の体験は、自著に詳細に記されている。

戦後の帰国とその後

1950年に八路軍の管理下にある撫順監獄に移送され、本格的な思想改造を受ける。彼は1963年に出所し、その後日本に帰国。帰国後は中帰連に加わり、日中友好活動に力を入れた。また、岸信介と近しい関係を持ち、1965年には自由民主党公認で参議院選挙に出馬したものの、落選してしまう。

古海は1966年から1978年にかけて実業界でも活動し、複数の企業の要職を歴任した。彼の幅広い経験は、政治、経済、国際関係における日本の立ち位置を理解する上で依然として重要な参考資料となっている。彼は1983年に亡くなるまで、日本の経済社会に大きな影響を与え続けた。

もう一度検索