古着

古着とは

古着（ふるぎ）は、過去に誰かに着用された衣服を指しますが、単なる衣類だけでなく、古着業者によって回収、選別された後に市場に出回る衣服の総称としても使われます。

古着の歴史と再利用

衣服の再利用は、人類の歴史において古くから行われてきました。特に繊維が貴重であった時代には、着用されなくなった衣服が最終的には布に還元され、古布として再加工されたり、新たな衣服に生まれ変わることが普通でした。また、古着の中にはぼろ布と呼ばれるものや、「つぎ」「はぎ」などの手法を用いたものも含まれ、いつしかこれらは民俗学や美術の観点からも評価されるようになり、美術館での収集対象にまでなりました。

日本における古着の発展

日本では、近世に古着問屋が登場し、特に着物から洋服へと移行する過程で古着文化が根付いていきました。現代においても、古着のマーケットは大規模に発展しており、国内外からさまざまな輸入品が取引されています。主な輸入先としてはアメリカ合衆国があり、19世紀末から続く救世軍が寄付された古着を利用して、活動資金を得る手法もその一例です。

戦後の古着輸入

第二次世界大戦後、特に物資が不足していた日本では、アメリカからの古着が大量に輸入されました。1950年には約80万点もの古着が日本に届けられ、流通の一環として通商産業省を通じて放出されたものの、引き合いが強く価格は急騰しました。その後、一部では京浜デパートを介し、原価での販売も行われるようになりました。

古着市場の特徴

古着の中でも特に人気が高いのがジーンズです。古着ジーンズの価格帯は幅広く、数百円から高級ヴィンテージでは100万円以上のものまで存在します。ジーンズの価格は色落ちや摩耗具合、ステッチのデザインなどによって変動し、高価なものほど価値が認められます。

また、近年ではブランド品を含む革製品なども多く流通しており、その価格は新品の約1割から3割で購入できることもあります。その中には、新品同様のアウトレット品やデッドストックといった商品も存在します。

海外への古着の流れとその課題

ただし、衛生的な観点から古着販売を禁止する国もあります。西アフリカのガーナなどではその代表例です。多くの古着は海外に輸出されており、寄付だけでなく転売としてアジアやアフリカの低所得国に流れています。しかし、現地のニーズに合わないことが多く、供給側の利益ばかりが優先される傾向が見られます。この問題は衣類生産と消費のサイクルが環境に与える影響とも深く結びついています。

ファッションとしての古着

ジーンズだけでなく、スウェットなど、古着に魅力を感じる消費者は多岐にわたります。ただ、一時のブームは落ち着きつつあり、現在では市場規模は比較的安定していると言われています。しかし、ファストファッションの台頭により、古着市場に供給過剰感が漂っています。

2016年の国際連合の統計によると、世界の古着輸出量は437万トン、金額にして約4000億円に達するとされています。特にアフリカ諸国やパキスタンが主な輸入国であり、アラブ首長国連邦では仕分け作業が行われています。経済が発展する東南アジア諸国でもヴィンテージ古着の購買者が増加しています。

さらに、女性による古着ファッションも定着しつつあり、その人気は今後も衰えないでしょう。古着の魅力は見た目の独自性や手頃な価格に加え、環境意識の高まりなどの背景も影響しているのです。

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