古螺

古螺（コーロア）について

古螺（コーロア、ベトナム語：Cổ Loa）は、紀元前258年から208年の間に存在した古代ベトナムの都であり、特にその独特な城塞構造で知られています。現在のハノイ北部のドンアイン県に位置しており、ハノイ市中心部からは紅河を挟んで対岸に位置しています。古螺は、当時の安陽王によって建設されたもので、都市の防衛と権力の象徴として重要な役割を果たしました。

都市の構造

古螺城塞は、外郭、中郭、内郭の三段階の防御構造を持っています。外郭の周長はおよそ8キロメートル、中郭は6.6キロメートル、内郭は全周1.6キロメートルで、城壁の高さは5メートルから10メートルに達します。これらの構造物は、ホアン川とカー沼を取り入れた形で築かれ、周囲の自然環境を利用した防御策が施されていました。その形状が巻貝に似ていたことから「螺城」という名称がつけられ、この名は地域に永続的な影響を与えました。

伝説

古螺の建設には、伝説が数多く伝わっています。特に、金の亀に助言を受けたことが、有名な物語として語られています。この金の亀は、昌明な戦術と知恵を象徴する存在として、古代ベトナムの人々に崇拝されていました。亀の導きによって、安陽王は堅固な城を築き上げ、周辺の敵から国を守る事ができたとされています。

文献

古螺に関する記録は、複数の古文書に残されています。『元和郡縣志』では、城が築かれる過程やその歴史的背景について触れられています。この書物には、秦人による城の建設や、伝説的な馬の出現についての記述があります。それによると、築城途中で数回崩落したものの、馬の走り回る様子を見て、再建が成功したというエピソードが語られています。

また、『嶺南摭怪 · 金龜傳』では、安陽王と彼の娘である媚珠にまつわる物語が描かれており、王国の滅亡を招いた出来事が記されています。この伝説は、国家の栄光と悲劇を結びつけ、古螺の歴史を一層ドラマティックにしています。

近代における古螺の意義

古螺は今でもベトナムの歴史において重要な位置を占めており、文化的遺産として一般に知られています。観光地としても人気があり、訪問者はその壮大な城塞の遺構を目の当たりにすることができます。また、地域社会は、古螺の伝説や歴史的背景を継承し、現代の文化の中に取り入れています。

このように、古螺は単に古代の遺跡というだけでなく、ベトナムの国民的アイデンティティや歴史的意義を持った場所となっています。

もう一度検索