古賀亘

古賀 亘

古賀 亘（こが わたる）氏は、1972年5月5日に愛知県稲沢市で生まれた、日本の多才なエンターテイナーです。その活動領域は、俳優、アクション俳優、モーションキャプチャーアクター、そしてアクションコーディネイターと幅広く、特にアクションとモーションキャプチャーの分野で日本のエンターテインメント業界に多大な貢献をしています。

アクションの世界へ

古賀氏がアクションの世界に足を踏み入れたのは、幼い頃、ジャッキー・チェンの迫力あるアクションに魅せられたことがきっかけでした。アクション俳優になることを夢見て、名古屋放送児童劇団に入団。その後、15歳から18歳にかけては、アクションの基礎をさらに磨くため、東映アクションクラブ（現在の名古屋アクションクラブ）で研鑽を積みました。俳優としての才能も発揮し、第4回エリアコードドラマ052オーディションではグランプリを獲得しています。

活劇座の設立と専門性の確立

1999年、古賀氏はアクションを得意とする俳優たちと共に、活劇俳優集団「活劇座」を立ち上げ、その座長を務めました。この集団は、2009年には株式会社活劇座として法人化され、古賀氏自身が代表取締役となります。活劇座は、日本のエンターテインメント業界において、モーションキャプチャー収録における専門的なコーディネイト、すなわちモーションアクターの手配や指導、そしてアクションそのものの振り付け・演出を専門とする、業界初の企業として独自の地位を確立しました。

多岐にわたる活動実績

古賀氏の活動は多岐にわたります。俳優としては、『平成ウルトラセブン』シリーズのミズノタクマ隊員役や、フジテレビ系列で放送された『神話戦士ギガゼウス』における主演の剣剣介役、さらには変身後のスーツアクターも自身が務めるなど、映像作品で存在感を示してきました。その他にも『中学生日記』、『マギニチュード』、主演作『ブラッディ・ナイト・ア・ゴーゴー』などがあります。

また、自身でスタントを演じるだけでなく、アクションコーディネーターとしても活躍。さらに、近年の映像制作において不可欠な技術となったモーションキャプチャーの分野では、アクターとして、そしてコーディネーターとして、数多くのプロジェクトに参加しています。参加作品はゲーム、CGムービー、パチンコなどを含め、その数は千本を超えると言われています。特にゲーム業界における貢献は著しく、『バーチャファイター』や『鉄拳』、『モンスターハンター』、『戦国BASARA』といった人気シリーズをはじめ、幅広いジャンルの作品に携わっています。これらの作品では、モーションアクターやアクションコーディネイトといった様々な役割を担い、キャラクターに生命を吹き込む作業を支えています。

アクション哲学と武術の背景

アクションコーディネイターとしての古賀氏の哲学は、単に派手な動きを追求するのではなく、アクションの流れの中に「ドラマ」を盛り込むことにあります。物語の一部としてアクションを機能させ、作品全体の盛り上げに貢献することを特徴としています。また、長年培ってきた数々の武芸のエッセンスを動きの中にアクセントとして取り入れたり、アクションの一つ一つに必然性を持たせることも重視しています。これは、空手や古武術、中国武術、システマといった多彩な格闘技術を習得している背景があるからこそ可能な表現と言えるでしょう。

国際的な活動と後進の育成

古賀氏の活動は国内に留まりません。俳優小川輝晃氏が率いる「Chanbara Project」に参加し、俳優兼アクション振付師として、和太鼓集団「倭」とのコラボレーションショー「Chanbara Legend of the Sword」を世界各地で上演しています。ヨーロッパを中心に公演を行い、毎回多くの観客を魅了するなど、日本のエンターテインメントを世界に発信する活動にも力を入れています。

また、自身の豊富な経験を次世代に伝える活動も行っており、俳優養成所などで殺陣やアクションの講師として指導にあたっています。

映画『イン・ザ・ヒーロー』では、唐沢寿明氏演じる主人公「本城渉」のキーパーソンモデルの一人となったことでも知られており、本編にはモーションアクター役で出演もしています。

俳優として、そして日本のモーションキャプチャー・アクション業界の牽引者として、古賀亘氏はその技術と経験をもって、今日も様々な作品にリアリティと迫力を与え続けています。

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