古賀浩靖

古賀浩靖：三島事件の介錯から宗教家へ

古賀浩靖（こが ひろやす）は、1947年8月15日生まれの日本の政治活動家、宗教家です。彼は三島由紀夫が結成した「楯の会」の2期生であり、1970年11月25日の三島事件において、三島由紀夫と森田必勝の割腹自殺の介錯を行った人物として知られています。事件後、彼は宗教家として新たな道を歩み始めました。

生い立ちと思想形成

古賀浩靖は、北海道滝川市で小学校校長であり、「生長の家」本部講師でもあった父・幸利と母・幸の次男として生まれました。彼は幼少期から「生長の家」に触れ、高校時代には練成会に参加し、合宿生活を送る中で、人間の存在価値や日本の歴史との一体感を学び、人生観を大きく変えました。

また、菅原裕の『日本国憲法失効論』などを読み、現行憲法の破棄に生涯を捧げる決意を固めました。

大学時代と三島由紀夫との出会い

1966年、古賀は神奈川大学法学部に入学。憲法改正論を唱える教授がいることを知っての選択でした。大学では日本建国の精神を追求するため、「日本文化研究会」を結成し、学園紛争や新左翼の動向に危機感を抱いていました。

そんな中、三島由紀夫の『憂国』を読み、感銘を受けた古賀は、1968年、楯の会に入隊。自衛隊での体験入隊を経て、1969年には第5班の副班長に就任しました。大学卒業後も楯の会での活動を続けながら、司法試験の勉強に励みました。

1970年9月、古賀は三島から直接、決起計画を聞かされ、その覚悟を問われました。彼は、日本を覚醒させるためには生命を捨てる覚悟が必要だと考え、同志に加えてくれたことを感謝しました。事件前日には、両親に「自分は憲法と刺し違える」という手紙を書いています。

三島事件と介錯

1970年11月25日、古賀は三島由紀夫らと共に市ヶ谷駐屯地へ向かい、東部方面総監を監禁。三島は自衛隊員に向けて演説を行いましたが、自衛隊員の反応は冷ややかでした。その後、三島は総監室で割腹自殺を遂げました。介錯を 맡은森田必勝が 실패하자、森田から刀を託された古賀が介錯を行い、三島の首を切断しました。続いて、森田の介錯も古賀が行いました。

事件後と宗教家としての道

三島事件後、古賀は逮捕され、1972年に懲役4年の実刑判決を受けました。獄中では父から励まされ、1974年に仮釈放。その後、国学院で神道を学び、神主の資格を取得しました。

刑期満了後、古賀は三島・森田の慰霊を始め、次第に楯の会元会員が集まるようになり、毎年慰霊祭が行われるようになりました。その後、谷口清超の長女と結婚し、谷口の旧姓である「荒地」を名乗り、生長の家の札幌教区教化部長に就任しました。

人物像

古賀浩靖は、神奈川大学で剣道部に所属しており、体格は良かったものの、寡黙で穏やかな人柄だったと伝えられています。彼は、明治天皇の歌や三井甲之の歌を好み、同じ「コガ」である小賀正義と区別するために、「フルコガ」というニックネームで呼ばれていました。

出所後、伊藤邦典から「あの事件で何が残ったか」と問われた際、古賀はただ掌を上に向けて、三島と森田の首の重さを感じるように見つめていたといいます。不測の事態に備えて書いた辞世の句も残されています。

古賀浩靖は、三島事件という歴史的な出来事に関与し、その後、宗教家として独自の道を歩んだ人物です。彼の人生は、思想的な探求、行動、そして精神的な変遷を通じて、日本の近現代史における特異な軌跡を描いています。

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