三井甲之

三井甲之の生涯と業績

三井甲之（みついこうし、1883年10月16日 - 1953年4月3日）は、日本の著名な歌人、文学者、そして右翼思想家として知られています。彼は、山梨県中巨摩郡敷島村出身であり、本名は甲之助です。三井甲之は「皇道歌人」としても名を馳せており、その詩作品や評論活動は、多くの文学愛好者に影響を与えました。

生い立ちと教育

彼は地主の家庭に生まれ、甲府中学校に入学しますが、校風になじめなかったため、上京し京華中学校に転入します。1901年、第一高等学校に進学し、阿部次郎や岩波茂雄といった同世代の文人たちと交流を持ちました。1902年には短歌革新運動の先駆者であった正岡子規の影響を受け、彼の死後には追悼の詩を日記に記録しています。

1904年に東京帝国大学文学部国文学科に進学し、ここで万葉集の研究や根岸短歌会に参加するなど、本格的な文学活動を始めます。彼は文人たちとの交流を深めつつ、自らも歌や評論を発表し始めました。この頃の彼の活動は、後の文学活動に大きな影響を与えます。

雑誌『アカネ』の創刊

1908年、彼は伊藤左千夫と共に文芸総合誌『アカネ』を創刊しました。この雑誌は根岸派の歌人や帝大出身の文人が集まる場となり、小説や戯曲の他、多岐にわたる文学作品が発表されました。しかし、三井の西洋文学への傾斜や選歌に対する意見の対立により、彼は独力で『アカネ』の運営を続けていくこととなります。

その後、評論家としても活動し、さまざまな雑誌に寄稿しました。三井は1910年に結婚し、その後母校で教鞭を執りながら、多くの著作を手がけました。1911年には『アカネ』を新聞として復刊し、新たに『人生と表現』と改称。この雑誌は1925年まで続けられることになります。

右翼活動と思想の変化

1925年には右翼団体「原理日本社」を結成し、思想的な批評活動も行います。彼は当時の自由主義やマルクス主義に反対し、尊皇思想の活動にも参加しました。特に、明治天皇御製の拝唱運動を行うなど、天皇を称賛する姿勢を持ち続けました。

戦後の苦境と死

終戦後、三井は占領軍による公職追放を受け、土地の大半を失い、また次男の戦死に直面するなど厳しい現実に直面しました。この苦境の中、彼は民主主義や普遍的な価値観を認めるようになり、思想に変化が見られました。1953年、三井は自身の文学活動を終えて逝去し、彼の著作や資料が残されています。

主な著作

三井の著作は多岐にわたります。彼の初期の作品には歌集『消なば消ぬがに』、後には『ヴント氏民族心理学研究』や『祖国礼拝』などがありました。また、評論や研究なども数多く発表し、特に親鸞に関する研究にも力を注いでいました。

彼の功績は、歌人としての活動のみならず、右翼思想家としての一面、また文学に対する影響力としても計り知れないものがあります。三井の詩は、甲斐市竜王の山県神社に碑が建立されているなど、今もなお記憶されています。

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