古里原子力発電所

古里原子力発電所とは

古里原子力発電所（コリげんしりょくはつでんしょ）は、韓国の釜山広域市機張郡と蔚山広域市蔚州郡に位置する原子力発電所です。韓国水力原子力が所有しており、1978年に運転を開始した韓国初の商業用原発です。この記事では、隣接する新古里原子力発電所についても解説します。

歴史

1971年11月に建設工事が始まり、1972年5月には完成しました。最初の原子炉である1号機は1972年3月に着工、1977年に完成し、1978年4月に運転を開始しました。その後、1980年代には2号機から4号機が建設されました。

韓国標準型原子炉である新古里原子力発電所1号機は2011年2月28日に商業運転を開始しました。これにより、古里・新古里の総出力は413万7,000kwとなりました。周辺地域には新古里2号機から4号機までが建設中です。

古里1号機の廃炉

2015年6月12日、産業通商資源部から老朽化や福島第一原発事故、国内原発の不祥事などを理由に古里1号機の廃炉勧告を受けました。韓国水力原子力は、2017年6月に1号機の運転を停止し、廃炉とすることを決定しました。これは韓国国内の原発としては初の廃炉となります。

2017年6月9日、韓国原子力安全委員会が古里1号機の廃炉を許可し、6月19日午前0時に運転が停止されました。運転停止記念式典では、文在寅大統領が原発政策の再検討を表明し、新設計画の白紙化や古い原発の廃止、稼働延長停止を指示しました。これを受け、韓国水力原子力は新古里原発5、6号機の建設工事を一時停止しました。

2018年時点の廃炉スケジュールでは、撤去開始は2022年6月以降、使用済み核燃料棒の搬出完了は2025年12月、解体完了は2032年12月となっています。しかし、高レベル放射性廃棄物の処分場建設など、廃炉に関する問題も多く、長期化する可能性が指摘されています。

新古里3号機の発電開始

2015年10月30日に韓国原子力安全委員会から運転許可が下り、11月4日には燃料集合体の装荷を開始しました。12月29日に初臨界を達成し、2016年1月15日に電力供給を開始しました。

発電設備

（具体的な発電設備の詳細については、本記事では割愛します。）

事件・事故

これまでに、古里原発では多数のトラブルが発生しています。将来、重大な事故が起きた場合、西日本にも被害が及ぶ可能性があると指摘されています。

古里1号機での高温水流出事故

2007年3月19日、古里1号機内で整備作業員4人が放射能汚染の可能性のある高温水で火傷を負う事故が発生しました。作業員は病院で治療を受けましたが、放射能汚染の可能性があったにもかかわらず、適切な隔離措置がとられていませんでした。

古里1号機の電気系統トラブル

2011年4月12日、古里1号機で電気系統のトラブルが発生し、運転が停止しました。原子力本部は、原子炉の安全性には問題がなく、放射能の放出もないと発表しました。

古里4号機の人為的ミスによる故障

2011年4月19日、古里4号機で電気系統の故障が発生しました。非常用発電機が稼働したため運転停止には至りませんでしたが、作業員のミスが原因で、作業員が感電や火傷を負いました。この事故を受け、原発の安全マニュアルとシステムの再点検を求める声が上がりました。

古里1号機の停止と事故の隠蔽

2012年2月9日、古里1号機で外部電源が停止し、非常用ディーゼル発電機も作動しない全電源喪失事故が発生しました。事故発生が翌月の3月12日まで隠蔽されていたことが発覚し、原子力安全委員会は同機の運転を停止させました。

新古里2号機の試験稼働中の停止

2012年3月23日、試験稼働中だった新古里2号機が部品の故障で停止しました。韓国水力原子力は、原子炉を冷却しており、安全には問題がないと説明しました。

制御ケーブルの偽装

2013年、複数の原発で使用された制御ケーブルの試験成績が偽造されていたことが発覚しました。新古里原発でも、稼働中と建設中の原子炉で問題のケーブルが使用されていました。

豪雨による23時間の停止

2014年8月25日、豪雨により海水取入口から雨水が大量に流入したため、古里・新古里の5基のうち1基が停止しました。また、運転操作施設も停電し、約23時間機能が停止しました。

新古里3号機の窒素漏れによる死亡事故

2014年12月26日、新古里原発3号機建設現場で窒素ガス漏れ事故が発生し、作業員3人が死亡しました。

新古里2号機のタービン室内での水素ガス漏出

2015年2月3日、新古里2号機のタービン室内で水素ガスが漏出し、原発の出力が低下しました。

有害物質の無断放出

2017年3月23日、古里原発から有害物質が海に放出されていたことが発覚しました。韓国水力原子力の関係者が、消泡剤として使われる有害物質ジメチルポリシロキサンを無断で海に流した疑いで送検されました。

古里4号機の異常現象による手動停止

2017年3月28日、古里4号機でサージタンクの水位が上昇する異常が発生し、手動で停止しました。原子炉冷却材の漏洩が原因と推定されています。

新古里原発4号機の火災による発電中止

2021年5月29日、新古里原発4号機で火災が発生し、発電が中止されました。

新古里原発5・6号機の建設を巡る問題

新古里5、6号機の建設を巡っては、建設継続か中断かを問う世論調査が実施されましたが、政府と公論化委員会との間で、最終決定の主体を巡り対立が続いています。世論調査の結果は、建設継続を支持する意見がわずかに上回ったものの、依然として意見が分かれています。

まとめ

古里原子力発電所は、韓国の電力供給を支える重要な施設である一方で、数々の事故やトラブルも経験してきました。特に、廃炉となった1号機の問題や、新古里原発の建設を巡る問題は、今後の韓国の原子力政策に大きな影響を与えると考えられます。

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