可変資本

可変資本の概念

可変資本（かへんしほん、英: variable capital、独: variables Kapital）は、マルクス経済学において非常に重要な概念であり、労働力の購買に使われる資本を指します。労働力商品は生産過程を経て、購入時に支払われる「労賃」と、その労賃を超えて生まれる剰余価値との関係性によって成り立っています。ここでの「可変」という言葉は、労働力が生み出す価値の変動を意味します。

労働力と剰余価値

労働力は商品の一つとして扱われ、その購入には資本が必要です。労働者に支払う賃金は、労働力を購入する際の基本的なコストです。しかし、労働者が生み出す商品には、その労賃を上回る価値があり、この超過分が剰余価値となります。このため、可変資本は単なる労働力の購入にとどまらず、資本の増殖に寄与する重要な要素です。

不変資本との対比

一方で、不変資本（不変資本は、英: constant capital、独: konstantes Kapital）は、生産手段を購入するために使われる資本を指します。これに対して不変資本は、価値の移転を行うものの新たな価値を生まないため、「不変」と呼ばれます。簡単に言えば、不変資本はただ価値を移すだけで、その金額は増加しません。

数式による表現

可変資本を "v"、不変資本を "c"、剰余価値を "m" と表すと、商品の総価値は次のように表されます：

$$ 商品の価値 = c + v + m $$

この数式は、全体の価値が生産手段の価値、不変資本の価値、そして労働力によって生み出された剰余価値の合計で成り立っていることを示しています。

まとめ

可変資本はマルクス経済学において、労働力が生み出す価値の重要な側面を示す概念です。労働力の購入には資本が必要であり、この資本が剰余価値を生むことで、資本の増殖が可能となります。また、不変資本との対比を通じて、可変資本の特異性が際立ち、経済のダイナミズムを理解する上で欠かせない存在と言えるでしょう。

出典

• - カール・マルクス『資本論』第1部第6章「不変資本と可変資本」

関連項目

• - 剰余価値率
• - 再生産表式

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