台北植物園

台北植物園は、台北市内の中正区に位置する、台湾初の植物園です。かつて台北湖があった場所に、約8.2ヘクタールの広大な敷地を有しています。園内には、2000種を超える多様な植物が収集されており、裸子植物区やシダ植物区など、テーマごとにエリア分けされています。

歴史

この地は、かつて台北湖の一部でしたが、干上がって陸地となり、紀元前2500年頃には人類が定住を始めたとされています。植物園の起源は、日本統治時代の1896年に設立された「台北苗圃」に遡ります。当時、日本は南方進出を視野に入れ、食用や薬用として利用できる植物の種子を収集・研究するための拠点を必要としていました。1911年には「林業試験地」と改称され、1921年に現在の「台北植物園」という名称になりました。

園内には、1924年に建設された「腊葉館（植物標本館）」があり、2008年には台北市の古蹟に指定されています。腊葉館には、多くの植物標本が保存されており、現在も研究に活用されています。また、清代末期の建築物である「欽差行台」も園内に移築・保存されており、こちらも歴史的に重要な建物です。欽差行台は元々、布政使司衙門の一部でしたが、1931年に台北公会堂（現在の中山堂）建設に伴い解体される予定でした。しかし、保存のため1933年に植物園に移築されました。1939年には「台湾総督府林業試験所植物園」とされ、台北の都市計画においても重要な公園として位置づけられました。

第二次世界大戦後、植物園は様々な管轄を経て、研究成果を蓄積してきました。現在は入場無料で、観光施設として、また市民の憩いの場として親しまれています。2016年から2017年にかけて腊葉館の修復工事が行われ、第二次世界大戦以来行方不明だった早田文藏の記念碑が再建されました。また、早田の研究に影響を与えたフランス人神父ユルバン・ジャン・フォーリーの胸像も復刻されました。

施設

園内には、温室やハス広場、ハス池などの施設があります。腊葉館は、2008年に台北市の古蹟として指定されており、欽差行台は2013年に修正登録されています。早田文藏の記念碑は腊葉館正面歩道の水場付近、フォーリー神父の胸像は雙子葉植物區に設置されています。植物園の南海路沿いには、林業試験所、国立歴史博物館、国立台湾芸術教育館があります。

アクセス

植物園には専用駐車場がないため、公共交通機関の利用が推奨されています。地下鉄を利用する場合は、小南門駅の3番出口から博愛路を南へ進むとすぐです。バスを利用する場合は、植物園站、三元街口、建国中学といったバス停が植物園の南側の街路に集中しています。

外部リンク

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