台徳院霊廟

台徳院霊廟とその歴史

台徳院霊廟（たいとくいんれいびょう）は、江戸幕府の2代将軍である徳川秀忠を祀る霊廟で、東京の増上寺に所在しています。この霊廟は、江戸時代初期の代表的な建築物として知られ、壮大なデザインを誇っていました。しかし、残念ながら多くの建物が戦火によって失われてしまいました。

概要と建設の経緯

徳川秀忠は寛永9年、すなわち1632年に亡くなり、その霊廟の建設が同年の2月から始まりました。霊廟は増上寺の境内南側、現在の港区芝公園に建設されることとなり、7月には本殿の上棟式も行われました。1930年には、国宝保存法に基づいて国宝に指定されましたが、1945年の東京大空襲において大部分が焼失してしまいました。

秀忠の墓所は1958年に発掘調査され、現在は増上寺の安国殿裏にある徳川家の墓所に墓塔が設けられています。

霊廟の建築群

霊廟は多くの重要な建物で構成されており、1930年に国宝に指定された建物には次のものが含まれます。

• - 本殿
• - 相之間
• - 拝殿
• - 渡廊
• - 中門
• - 透塀
• - 水盤舎（2棟）
• - 勅額門
• - 惣門
• - 丁子門
• - 奥院宝塔（木造）
• - 奥院覆屋
• - 奥院中門
• - 奥院玉垣
• - 奥院拝殿
• - 奥院御成門
• - 附:銅燈籠8基

これらの建物群は、霊廟の規模と重要性を示しています。特に、霊廟の配置は端正で美しいもので、入口の惣門をくぐり進んだ参道には、勅額門や丁子門が設けられています。

建物の特徴

本殿は権現造りで、相之間と拝殿と一体化しています。拝殿は非常に美しいデザインを持ち、屋根は銅瓦葺きの装飾が施されています。内部は畳敷きで、宮殿形の厨子が安置されています。奥院には、安置された墓塔があり、その宝塔は円柱形をしていて、木造で伝統的な技法を使って作られています。

戦災による損失とその後の状況

台徳院霊廟は1945年の空襲により、非常に大きな被害を受けました。最初に国宝に指定された15棟の建物のうち、惣門、勅額門、丁子門、御成門、奥院玉垣を除く10棟と附指定の銅燈籠8基が焼失しました。その後、焼失した建物は1949年に正式に国宝の指定が解除されました。

焼け残った4棟は、1950年以降は重要文化財として保護されることになり、そのうちの3棟は1960年に埼玉県所沢市に移築されています。惣門だけは芝公園に残されています。

現存する建物

現在、台徳院霊廟の現存する建物は以下の通りです：

• - 惣門 - 入母屋造の八脚門。現在の建物は1959年に移設され、簡素な装飾が施されています。
• - 勅額門 - 1960年に移築された切妻造の四脚門。
• - 丁子門 - こちらも1960年に移築され、照明用の平唐門です。
• - 御成門 - 1960年に移築されたが珍しい形状を持つ切妻造の門です。

これらの建物は、依然として日本の文化遺産の一部として大切にされています。

台徳院霊廟の模型

また、霊廟の建築模型も存在しており、これは日英博覧会のために制作されたもので、現在東京の増上寺で展示されています。これらの模型は、失われた建物群の姿を想像させる重要な資料となっています。

台徳院霊廟はその歴史的な価値から、今でも多くの人々に親しまれ、研究の対象ともなっています。江戸時代の典雅な建築文化を感じることのできる場所として、多くの人々を魅了し続けています。

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