国宝保存法

国宝保存法の概要

国宝保存法（こくほうほぞんほう）は、日本の文化財保護を目的とした法律であり、昭和4年（1929年）に施行されました。この法律は、古社寺保存法を引き継いで制定されたもので、1950年に文化財保護法が施行された際に廃止されました。

この法律は、文化財の保護に関して重要な役割を果たしました。具体的には、古社寺の重要な建造物や宝物を「特別保護建造物」または「国宝」として指定し、保護することを目的としていました。国宝保存法の施行により、これまでの古社寺保存法における所有要件が撤廃されました。これによって、国有・公有・私有のいずれの場合でも、「国宝」として指定されることが可能になりました。また、古社寺保存法に基づく「特別保護建造物」は、新たに「国宝」という名称で再指定されました。

国宝保存法は、25条から成り立っており、大蔵省と文部省がその運営に関与していました。この法律の実施により、多くの文化財が適切に保護され、後の文化財保護法の基本制度が確立されたと言えます。

国宝保存法における「国宝」は、文化財保護法の施行後、重要文化財として再指定されました。そのため、国宝保存法時代の国宝は文化財保護法の規定による重要文化財と混同されることを避けるために「旧国宝」と呼ばれることがあります。

勅令と関連法

国宝保存法の施行に際しては、いくつかの勅令も発布されました。例えば、国宝保存法施行令（昭和4年6月29日勅令第210号）や国宝保存会官制（昭和4年6月29日勅令第211号）などがあります。これらの規定は、国宝保存法の運営を補完するものであり、文化財の保存と保護をより円滑に進めるための枠組みを提供しました。

また、国宝保存法に関連する法律には、重要文化財や文化財保護法のほか、旧史蹟名勝天然紀念物保存法や旧重要美術品等ノ保存ニ関スル法律などがあります。これらの法律は、日本における文化遺産の保護のため、さまざまな側面から取り組まれています。

国宝保存法の存在は、日本の文化財保護に関する意識を高め、後の文化財保護法の制定に大きな影響を与えました。この法律の施行により、日本の歴史や文化を後世に伝えるための基盤が築かれたのです。

出典

• - 国宝保存法　御署名原本（JACARアジア歴史資料センター）
• - 戦災による旧国宝保存法の建造物

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