台湾省政府

台湾省政府とは

台湾省政府は、中華民国（台湾）の行政区画の一つである台湾省の行政機関として、1947年に設置されました。台湾省行政長官公署の後継組織として発足しましたが、1998年の組織改編により、その機能は大幅に縮小され、事実上、行政院の出先機関となっています。

沿革

設立と初期

1947年、二・二八事件を背景に、台湾省行政長官公署への不満が高まる中、同公署は廃止され、台湾省政府が設立されました。初代主席には魏道明が任命されました。当初、庁舎は台北市に置かれ、日本統治時代の台北市役所（現行政院庁舎）が使用されました。

内陸部への移転

1949年に中華民国政府が台北に移転した後、1954年の第一次台湾海峡危機を受け、中国人民解放軍の攻撃から行政機能を守るため、1957年に台湾省政府は内陸部の南投県南投鎮（現南投市）中興新村に移転しました。

機能縮小と虚省化

1967年と1979年に、台北市と高雄市がそれぞれ院轄市（現直轄市）に移行し、台湾省の管轄範囲は縮小しました。その後も、2010年と2014年にかけて複数の県が直轄市に移行し、台湾省の面積と人口はさらに減少しました。

1997年には、地方政府の階層を簡略化するため、「中華民国憲法増修条文」が改正され、1998年に台湾省の地方自治機関としての機能が凍結（虚省化）されました。これにより、省政府の権限は大幅に削減され、事実上行政院の出先機関となりました。省政府の下部機関は改称または廃止され、管轄下の県・市も行政院の管轄下に移りました。

事実上の廃止

2010年代以降、複数政党の立法委員が台湾省政府の予算凍結や廃止を主張するようになり、2018年には、行政院長が新年度予算をゼロとし、事実上廃止することを発表しました。省政府は憲法で定められた機関であるため、形式上は存続していますが、その実態はほとんどありません。

近年の動き

2018年、台湾省政府の全業務と職員は行政院の機関に移管され、省政府庁舎は国家発展委員会の管理下に置かれることになりました。省政府のウェブサイトも閉鎖され、現在ではその活動はほぼ停止しています。

組織

首長

台湾省政府の首長は、官選の台湾省政府主席です。かつては民選の台湾省長が置かれていましたが、虚省化以降は再び官選の主席となっています。

虚省化以前

虚省化以前は、主席、秘書長、副秘書長などの主要役職がありました。また、多数の一級機関、二級機関、事業機構が存在しました。

虚省化以降

虚省化以降は、組織は大幅に縮小され、組、室、会、任務編組、附属機関などから構成されるようになりました。しかし、これらの機関も、2010年代にはほとんどが他の機関に移管されています。

庁舎

初期

台湾省政府の最初の庁舎は、台北市にあった旧台北市役所でした。その後、内陸部の霧峰郷（現台中市霧峰区）の仮庁舎を経て、南投県南投市中興新村に移転しました。

現在

現在、旧台湾省政府庁舎は、国家発展委員会の施設として活用されています。

まとめ

台湾省政府は、かつて台湾省の行政を担う重要な機関でしたが、地方自治制度の改革や政治的な変化により、その機能は大幅に縮小されました。現在では、名目上の存在となっていますが、その歴史は、台湾の行政機構の変化を物語る上で重要な要素となっています。

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