台湾高速鉄道700T型電車

700T型電車 (THSR 700T)

700T型電車は、台湾高速鉄道で使用される高速電車です。この電車は、日本のJR東海とJR西日本が共同で開発し、700系新幹線を基盤としています。製造メーカーには、川崎重工業、日本車輌製造、日立製作所が名を連ねており、初期には30編成が日本で製造され、台湾に輸出されました。

開発と製造の歴史

700T型電車は、2004年1月30日に川崎重工業の兵庫工場で先頭車両の披露式が行われたことからスタートしました。2006年には「新幹線 海を渡る」というテレビ番組が放送され、700T型の輸出にスポットが当てられました。2012年には、さらに4編成の基本及びオプション契約が締結されましたが、700系の退役に伴い、既存の700T型の製造用部品の確保が困難となり、新型車両の導入が決まりました。2023年にはN700S系を基にした144両の新型車両が導入されることが発表され、2026年からの順次納入が予定されています。

700T型の特徴

700T型電車は台湾高速鉄道の需要に応じた設計となっており、基本的には700系に似ていますが、いくつかの重要な点で異なります。700系が16両編成であるのに対し、700T型は12両編成です。最高速度は300km/hに設定しており、このために主電動機の出力が285kWに強化されています。また、台車は500系を基にして設計されています。

700T型電車の先頭車両のノーズの長さは8メートルで、700系の9.2メートルよりも短く設計されています。この短さは、台湾高速鉄道のトンネル設計に起因し、圧力を逃がすための空間が確保されているため、トンネル微気圧波による問題が解決されています。

安全機能と車内設備

700T型電車の運転室デザインも独特で、運転台横の乗務員扉は省略され、デッキから入室する方式を採用しています。また、客室扉には車掌が操作する開閉スイッチが設置されており、円滑な運行と安全点検を可能にしています。車内は火災対策や有毒ガス対策が施されており、英国の基準に適合する安全な素材が用いられています。

非常時に備えた装置としては、各車両間にエネルギー吸収装置や無効窓、緊急脱出用のハンマーが設置されています。また、乗客には便利な自動放送が行われ、言語は京語、台湾語、客家語、英語が用意されています。

列車編成と設備

700T型電車はすべて12両編成が共通であり、客室は自由席と指定席が設けられています。この自由席は2023年9月からは列車により数が異なりますが、最低2両、最大8両が設定されることになりました。さらに、1号車、5号車、11号車には自動販売機が設置されており、乗客の利便性を高めています。運行は全席禁煙となっています。

製造と導入の経緯

初期の700T型電車は2004年から2005年にかけて製造され、TR01編成が最初に海上運送されました。続いて2012年に基本契約の4編成とオプション契約の4編成の受注があった後、2013年からは営業運転も始まりました。これらの車両は台湾国内で内装設備の製造が行われ、さらに改良が施されています。

受賞歴

700T型は2006年のグッドデザイン賞において商品デザイン部門のベスト15に入選するなど、高い評価を受けてきました。

日本が誇る新幹線技術が結集した700T型電車は、台湾の交通インフラにおいて重要な役割を果たし、その性能と安全性に多くの期待が寄せられています。

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