台貫

台貫（だいかん）とは、自動車やその積載物の重さを精密に測るために用いられる大型の計量器です。一般的にトラックスケールという名称でも知られており、この計量器で重さを測る行為は台貫計量と呼ばれています。

その構造は、車両が乗る地面に設置された大きな台状の検出部と、計測結果を表示するための表示部（デジタル表示や古いタイプでは指針、竿など）から構成されます。この表示部は通常、検出部に隣接する建物の中に置かれています。現在主流となっている機構は、電気抵抗線の原理を利用したロードセル式ですが、歴史的には振子式や手動式の台貫も存在します。

台貫の用途は多岐にわたります。公的な場所では、国道や高速道路における過積載車両の取り締まりのために、検問所に設置されています。また、高速道路の料金所には、より小型のものが設置されており、車両が通過する際の軸重（車軸にかかる重さ）を測定し、基準を超える軸重の場合には警告音（ベルやゴング）が鳴る仕組みになっています。

事業所などの私有地内に設置される台貫は、主に貨物の積載量を正確に把握するために用いられます。通常、空車の状態で一度台貫に乗り、次に貨物を積載した状態で再度計量を行います。この二度の計量で得られた質量差から、積載された貨物の量が算出されます。検出部が往復路に設置されているタイプもあります。採石場や油槽所といった場所では、粉体や液体などのばら積み貨物（バルク）を出荷する際の質量確認に不可欠です。また、産業廃棄物処分場などでは、搬入される廃棄物の受け入れ量を把握するために使われます。台貫は非自動はかりであるため、車両だけでなく他の大きなものの計量にも活用することが可能です。

台貫には「カンカン」という俗称があります。この名称の由来については、古くから重さを量ること、あるいはそのための台秤を指す言葉である「看貫（かんかん）」に由来するという説が有力です。しかし、一般的には、高速道路料金所などで軸重超過時に鳴る警告音（「カン！カン！」という音）を連想する人が多く、「あの音が鳴るからカンカンと呼ばれる」という説明も広く知られています。

取引や証明を伴う台貫の使用には、日本の計量法に基づく厳格な規定が適用されます。こうした用途で用いる台貫は、計量法で定められた機関が実施する検定に合格していなければなりません。検定とは、計量器の構造が法令の基準に適合しているか、そして計測される質量に一定以上の誤差がないか（器差が検定公差内か）をチェックするものです。この検定に合格した計量器には、合格の証として検定証印が付されます。

近年、検定制度の効率化を図るため、指定製造事業者制度が導入されました。これは、高い製造・品質管理能力を持つと経済産業大臣が認定した製造事業者に対して、自主的な管理により検定証印と同等の効力を持つ基準適合証印を製品に付すことを認めるものです。この検定証印または基準適合証印が付されていない台貫を取引や証明に不正に使用した場合、計量法第173条に基づき50万円以下の罰金が科せられる可能性があります。特に、最近では海外製の無証印台貫が違法に使用されるケースが増加しており、問題視されています。

さらに、検定に合格し、使用が認められたトラックスケールの使用者には、2年に一度の定期検査が義務付けられています。この検査は、都道府県などが実施するものか、あるいは一般計量士が実施する「代検査」のいずれかを受ける必要があります。定期検査は、検定合格済みの計量器が取引・証明に引き続き使用できる状態にあるかを確認するために行われます。検定に比べて検査基準は簡素化されていますが、あくまで使用可否の判断を行うものであり、もし台貫の調整や修理を行った場合は、再度検定を受けて適合性を確認する必要があります。

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