史学会

公益財団法人史学会について

公益財団法人史学会は、1889年11月に創立され、日本における歴史学研究の進展に寄与する学術団体です。本会の設立は、現在の東京大学文学部内の史学科を起源としており、その後、歴史的な変遷を経て今日に至ります。創立から数ヶ月後の同年12月には機関誌『史学会雑誌』が発刊され、その後『史学雑誌』と改称されました。1929年には財団法人に移行し、2012年に公益財団法人として新たなスタートを切りました。

本会の本部は、東京大学文学部内に位置し、標準的な学術研究を促進することを目指しています。月刊の機関誌『史学雑誌』は同会の重要な出版物であり、毎年秋には史学会大会を開催します。この大会では、各部会や公開シンポジウムが実施され、活発な意見交換が行われています。

史学会賞の設置

2014年には、創立125周年を記念し、若手研究者の業績を評価するための「史学会賞」が設立されました。この賞は、40歳以下の若手会員が行った優れた研究活動に対して授与され、特に『史学雑誌』に過去2年以内に掲載された論文が対象とされています。これにより、若手研究者の更なる奮闘を促し、次世代の歴史学研究を支援することが目的とされています。

受賞者一覧

初めての史学会賞は、2014年11月に発表され、以下の2名に授与されました。

• - 後藤はる美 - 「17世紀イングランド北部における法廷と地域秩序――国教忌避者訴追をめぐって――」
• - 城地孝 - 「明嘉靖馬市考」

その後も毎年、優れた論文が表彰されており、2015年から2023年にかけての受賞者に関しても、広範な研究テーマが扱われています。

• - 2015年の受賞者には吉井文美の「『満洲国』創出と門戸開放原則の変容――『条約上の権利』をめぐる攻防――」が選ばれました。
• - 2016年は藤波伸嘉による「ババンザーデ・イスマイル・ハックのオスマン国制論――主権、国法学、カリフ制――」が受賞しました。
• - 2017年の受賞者は、紺谷由紀の「ローマ法における去勢――ユスティニアヌス一世の法典編纂事業をめぐって――」です。
• - 2018年には前野利衣の「十七世紀後半ハルハ＝モンゴルの権力構造とその淵源――右翼のチベット仏教僧に着目して――」が評価されました。
• - 2019年は殷晴の「清代における邸報の発行と流通――清朝中央情報の伝播の一側面――」が、2020年は付晨晨の「斉梁類書の誕生――初期類書の系譜と南朝士人――」が受賞。
• - 2021年には袁甲幸が「明治前期の府県庁『会議』――行政における『公論』の展開――」で表彰されました。
• - 2022年は村田優樹の「革命期ロシアのウクライナ問題と近世ヘトマン領――過ぎ去った自治と来るべき自治――」が受賞し、最も最近の受賞者は2023年のトーマス・バレットの「D.B.マッカーティと『琉球処分』問題――清朝在外公館における外国人館員の私的活動とその意義をめぐって――」です。

まとめ

公益財団法人史学会は、日本の歴史学界において重要な役割を果たしており、学術研究の発展に寄与し続けています。若手研究者を対象とした史学会賞の設立は、次世代の研究者を支えるための大きな一歩であり、今後も多様なテーマに焦点を当てた研究が続くことが期待されています。また、同会が発行する『史学雑誌』は、質の高い研究成果を広く伝える重要なプラットフォームとして、学術界との交流を促進しています。

もう一度検索