合同行政機構 (イギリス)

合同行政機構の概要

合同行政機構（Combined Authority）とは、イングランドにおいて2009年より導入された地方政府の新しい形態であり、特にロンドン以外の地域で見られます。この制度は、交通、経済発展、地域振興といった分野で効果的に機能することが期待されており、自治体間の連携を強化する役割を果たしています。公式に設置されるようになったのは2011年のことで、以来多くの地域で導入が進んでいます。2020年時点では、合同行政機構が合計で10存在しています。

沿革

合同行政機構の設立には、イングランドの地方自治体を取り巻く歴史的背景があります。1986年にはメトロポリタン・カウンティ・カウンシルやグレーター・ロンドン・カウンシルが廃止され、その結果大都市圏における自治体の統合が進むこととなりました。1999年にはロンドンにおいてグレーター・ロンドン・オーソリティーが設置されましたが、他の地域では類似の組織が設置されることはありませんでした。

ブレア政権下では、地方会議の公選化を推進するも市民投票での否決が続出し、代替案としてのシティ・リージョンの概念が注目されるようになりました。その後、グレーター・マンチェスター自治体協会からの提案を受け、非公選制の合同行政機構が設置されるに至りました。この動きは、住民投票による市長公選制の導入も含まれ、地域間の権限委譲を円滑に進めるための新たな手段として位置付けられています。

法的根拠

合同行政機構が設立される背景には、2009年の地方政治・経済発展・建設法が重要な役割を果たしました。この法律では、交通に関する権限が一部委譲され、さらに2011年の地方主義法によってさらなる権限委譲が認められるとともに、自治体に強化された権限が与えられました。

合同行政機構は、法人格を有し、経済発展や統合交通の管理に関する機能を担うことができます。これにより、地域の特性に応じた政策を実施しやすくなり、国からの財源を活用することも可能です。特に、EUの施策に合致したプロジェクトについては、EUからの資金調達も推奨されています。

設置プロセスと役割

合同行政機構は、二つ以上の隣接する自治体によって構成され、それぞれの自治体が合意することで設置されます。そのため、旦那方が作成する計画案には、役割分担や予算配分、運営方式について細かく記載され、最終的には国の承認を受ける必要があります。

合同行政機構が設置されると、交通政策や経済活性化のための計画が進められます。これは、構成自治体が持つ権限を集約し、地域に関連した戦略を展開するための重要な枠組みとなります。

現状と今後の展望

合同行政機構の設立により、イングランドの地域間における権限移譲が進んでおり、特に経済発展や交通網の整備においてその効果が期待されています。地域によっては計画が中止される例もある一方で、新たに設置される機構も存在しており、地域ごとの特性に応じた運営が進められています。

合同行政機構の役割は今後も増えていくと考えられ、地域のニーズに応じた柔軟な政策を展開することで、イギリス全体の地域振興に寄与することが期待されています。

もう一度検索