合意形成

合意形成とは

合意形成（コンセンサスビルディング）とは、異なる利害を持つ人々（ステークホルダー）の間で、意見の一致を目指すプロセスです。特に議論を通じて、関係者それぞれの根底にある多様な価値観を明確にし、意思決定において相互の合意を形成していく過程を指します。コンセンサスとも呼ばれます。

国家レベルでの合意形成は「ナショナル・コンセンサス」と呼ばれ、その過程は「合意形成過程」と呼ばれます。

合意形成の歴史と現状

合意形成の初期の事例として、1980年代にデンマークで発展したコンセンサス会議が挙げられます。

近年、日本では、組織内だけでなく、地方自治体においても、地域社会の発展に関する市民の意見を市政に反映させるため、市民参加型の取り組みが活発に行われています。

具体的には、ワークショップ形式での議論、市民を政策決定プロセスに参加させるパブリックインボルブメント、情報技術を活用した合意形成、パブリックコメントによる意見募集など、様々な手法が用いられています。

また、ワークショップ型の合意形成を支援するシステムも開発されており、行政と市民が協力してより良い社会を築くための合意形成システムが求められています。

リスクコミュニケーションと合意形成

原子力や環境問題など、リスクを伴う問題については、行政、市民、企業が情報を共有し、意見の一致を目指す「リスクコミュニケーション」が重要です。これも合意形成の一つの形と言えるでしょう。また、合意形成自体を研究対象とする学問も存在します。

合意形成システム

公共の場で議論を行うためには、以下の条件を公平に守るためのシステム作りが重要です。

議論の場の設定
議論の公開
十分な情報提供

特定の団体による介入を防ぐためには、情報を明確化し、共有することで、直接関与しないステークホルダーにも判断材料を提供する必要があります。

さらに、以下のような要素も合意形成には不可欠です。

インタレストに基づく意見の再構築
ファシリテーターの存在
ステークホルダー間の信頼関係
共通のルール作り（運営方法、誹謗中傷の禁止、対案の提示、議事概要の承認方法など）

これらの要素を踏まえ、様々な工夫が議論され、実践されています。

参考資料

土木学会 『合意形成論 - 総論賛成・各論反対のジレンマ』土木学会（土木學會誌叢書）、2004年。ISBN 9784810604696。
原科幸彦 『市民参加と合意形成 - 都市と環境の計画作り』学芸出版社、2005年。ISBN 9784761523701。

関連情報

社会資本整備における市民合意形成コース - 研究人材のためのe-learning（科学技術振興機構）

もう一度検索