合板

合板とは

合板（ごうはん、英: plywood）は、スライスした薄い木の板（単板）を重ねて接着した木質材料です。合板という名称は、英語の「plywood」から派生したもので、「ply」は層を指し、「wood」は木材を意味します。つまり、合板は層が積み重なった木材です。かつては「ベニヤ板」とも呼ばれていましたが、現在では合板が一般的な名称として定着しています。

構造と特性

合板は、通常1〜3mmの厚さの単板を繊維方向を垂直に重ねて接着し、多層構造を形成しています。この設計により、単板の反りを軽減する工夫が施されています。通常、合板は奇数枚の単板から作られますが、偶数枚の単板を使用する場合でも、その中心の単板は同じ方向に繊維が揃えられています。特に、合板の設計においては、対称性が重要視されており、これにより寸法の安定性と反りの軽減が実現されています。繊維の向きを45度に変えた層を加えた「斜行型合板」も研究されていますが、商業化には課題が残ります。

歴史的背景

合板の歴史は古く、紀元前3500年頃の古代エジプトにもその使用例が見られます。原木の不足から品質の劣る木材の表面に薄くスライスした木材を貼り付ける技法が発展しました。1797年にはイギリスの技師サミュエル・ベンサムが合板製造装置の特許を取得し、19世紀半ばにはアメリカで大規模な生産が始まりました。日本でも1907年に独自のロータリーレース機械が開発され、以降合板製造が盛んになりました。

分類や規格

合板は多くの観点から分類され、たとえば樹木の種類や仕上げの状態、強度、用途、ホルムアルデヒドの放出量によって区別されます。日本農林規格（JAS）では、合板を「ロータリーレースまたはスライサーにより切削した単板を主に直交して接着したもの」と定義し、いくつかの種類に分類しています。また、特に船舶用の「マリン合板」など耐水性を高めた合板も存在します。

接着剤と製造工程

合板の製造には、まずロータリーレースで原木から単板を作成し、その後接着剤を塗布して積層します。ホットプレスという装置を使用して熱と圧力を加え、接着剤を硬化させることで合板が完成します。接着剤には尿素樹脂やフェノール樹脂が多く使用されていますが、ホルムアルデヒドの発散が問題視されることもあります。最近では、ホルムアルデヒドを含まないイソシアネート系接着剤も注目されています。

用途と需要

合板は、建築、家具、楽器、軍事用途など多岐にわたる用途があります。特に建築資材としては、耐震性を高めるための構造材や、仕上げ材として使用されることが一般的です。合板の生産は世界的に広がっており、施工要請に応じた高品質な製品を提供するために、各国で技術向上が図られています。合板市場は、日本国内でも需要が増しており、特に住宅の構造用合板としての利用が進んでいます。

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